体外循環技術
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超低体温循環停止+順行性脳分離体外循環技術および成績の検討
松井 孝拓鈴木 満則藤沢 博浅海 宏内山 英貴舟橋 道雄新野 哲也瀬在 明秦光 賢井上 龍也塩野 元美根岸 七雄
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2004 年 31 巻 1 号 p. 49-52

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抄録
当施設では,大動脈瘤手術の補助手段として超低体温循環停止+順行性脳分離体外循環(SCP)を行ってきた。当施設における8年間の大動脈瘤手術におけるSCPの技術および成績について検討を行った。症例は,1995年7月~2003年2月の間に搬送された急性大動脈解離症例113例(DeBakeyI~III型)を対象とした。脳分離回路は,人工肺の出口よりYコネクターと1/4インチチューブを用いて1ポンプ2分枝送血とした。また,2002年3月より3分枝送血に変更した。体外循環はFA送血,RA脱血にて行い,体外循環スタートと同時にIsofluraneを0.3~0.5%人工肺に流し,動脈圧が落ち着いた時点からCoolingを行い,直腸温が20℃ になった時点で循環停止とし,大動脈を切開し腕頭動脈,左総頚動脈に住友循環カニューラ(15Fr,12Fr)を挿入しSCPを開始する(2002年3月より左鎖骨下動脈に12Frのカニューラを挿入し3分枝送血にしている)。Warmingは,人工血管の側枝から順行性送血とし,直腸温が36.5℃ になった時点で体外循環を離脱した。2002年3月に1例合併症が発生した。脳分離方法,復温のしかたに問題があったと考えられた。3分枝送血に変更し,復温時は食道温,膀胱温,直腸温に温度較差が生じないように復温をするようになってからは,脳分離体外循環を施行した患者に対麻痺の合併症もなく,現在は良好な成績を得ている。
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© 日本体外循環技術医学会
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