体外循環技術
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左主幹部梗塞に対し多枝Distal ProtectionをPCPS下に施行した症例
前川 正樹三原 幸雄東郷 好美阿部 顕正川野 成夫伊藤 浩藤井 謙司
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2004 年 31 巻 1 号 p. 57-59

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抄録
高齢でLMT病変の急性心筋梗塞患者にPCPS補助下PCIを行い良好な結果を得た。患者は86歳男性。来院時よりVT/Vfを繰り返しており,諸検査によりLMT病変を含む急性心筋梗塞と診断し,緊急カテーテルを施行した。カテーテル室入室後すぐにPCPSを開始しVT/Vfは消失した。造影検査によりLMTに大量の血栓を認めた。LAD,HL,LCXの三枝に同時Distal Protectionを使用してLMT/LADへのPCIを行った。三枝Distal Protection中には体血圧が著明に低下したが,PCPSの送血量を増加することで血行動態は安定した。PCI施行後にはLCX領域に新たな壁運動低下が出現したが,IABP+PCPSによるサポートを行うことで血行動態の悪化は認めなかった。PCPSは8時間30分後に離脱した。LCX領域の壁運動低下は改善し,IABPは4病日に抜去した。心臓リハビリ後,36病日に独歩退院となった。
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© 日本体外循環技術医学会
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