抄録
【要旨】国内での心移植患者はわずか20人に留まり,ドナー心不足のため補助人工心臓(LVAS)装着患者の待機日数が3年を超える事例も生じ,患者QOLと合併症などの問題から新たな治療法が求められ,LVAS治療にて自己心機能が回復する症例も発生してきた。今回我々は補助人工心臓の離脱に際し薬物療法に加え,両心室ペーシング治療を併用したLVAS離脱症例を経験した。離脱実施の最終確認として離脱後の心機能評価目的にLVASのON/OFFテストと両心室ペーシングの効果判定を行った。その結果から離脱可能と判断され,LVAS拍動回数を減少させるプログラムを開始した。その際,心機能の維持,ポンプ内血栓防止のため抗凝固のコントロールが重要であった。そして,LVAS離脱時に心表面マッピングで同定した適切な刺激部位に両心室ペーシングの電極を装着して両心室ペーシングを開始し,少量のカテコラミン付加でLVASを離脱した。離脱後は両心室ペーシング効果で両心室内の伝導遅延が修正され,薬剤効果を充分発揮し,心機能を維持してQOLの改善に効果があった。