2018 年 66 巻 1 号 p. 67-80
本研究の目的は,一般教員が学校管理職を志向する規定要因を探索的に検討することであった。まず,予備調査Ⅰで管理職候補者5名を対象にインタビュー調査を行い,過去の職務上での経験,教員として現在持っている効力感や職業観,認知,将来展望としての学校管理職志向に関連する要因が収集された。次に,予備調査Ⅱで,校長候補者68名に自由記述調査を行い,ロールモデルとなる管理職の人物像,公立学校教員職業観に関するより詳細な内容を収集した。それを踏まえ,本調査では,全国公立小・中学校の一般教員310名を対象にweb調査を実施し,学校管理職に影響を与える要因について,重回帰分析を用いて検討した。その結果,学校マネジメント経験から得た「職務達成感」と,「専門的識見・改革型リーダー機能」を有するロールモデルとの出会いが,「組織貢献効力感」「校長職に対する肯定的認知」の2変数を介して,学校管理職志向に間接的に影響を与えることが明らかになった。