教育心理学研究
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原著
非1人称セルフトークが自己制御に及ぼす影響
―制御焦点を調整変数として―
清水 登大長峯 聖人外山 美樹
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2021 年 69 巻 3 号 p. 229-240

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抄録

 自己制御とは,目標達成に向けて自らの思考,感情,行動を調整しようとするプロセス全般のことを指す。自己制御を向上させるための方略としてself-distancingがあり,非1人称セルフトークを行うことで促進することができる。本研究の目的は,self-distancingによる自己制御パフォーマンス向上への影響において,制御焦点が調整変数になり得るのかどうかを検討することであった。分析対象者は大学生72名であった。実験参加者は促進焦点または防止焦点を活性化され,1人称または非1人称セルフトークを行いながら自己制御課題(ハンドグリップをできるだけ長い時間握り続ける課題)に取り組んだ。実験の結果,促進焦点条件でのみ,1人称セルフトークと非1人称セルフトークの効果に差がみられた。この結果から,self-distancingの効果において,制御焦点の違いが調整変数として働く可能性が示された。

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© 2021 日本教育心理学会
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