教育心理学研究
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原著[実践研究]
受け手に合わせたプレゼンテーションを促す相互フィードバック方法の検討
小野田 亮介大澤 和仁
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2023 年 71 巻 1 号 p. 74-85

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抄録

 本研究では,受け手に合わせたプレゼンテーションの促進を目的とし,学習者間での相互フィードバック方法とその効果について検証した。予備実践では,中学校1年生80名が参加した「本の魅力を伝える授業」を対象として,プレゼンテーションの魅力評価と関連する要因を探索的に検討した。その結果,受け手から魅力的だと評価されるプレゼンテーションは,相互フィードバック後に修正が加えられていることが示された。本実践では,中学校1年生121名が参加した同授業を対象とし,(1)ペアで相互フィードバックを行う「ペア条件」,(2)4人グループで相互フィードバックを行う「グループ条件」,(3)4人グループの成員に評価観点を役割として与えて相互フィードバックを行う「役割グループ条件」の3条件を設定し,プレゼンテーション内容を比較した。その結果,役割グループ条件では他の条件に比べて相互フィードバック後の修正量が多いことが示された。また,修正されたプレゼンテーションほど魅力が高く評価される傾向も再確認された。以上より,相互フィードバック時に評価観点を役割として付与することが受け手に合わせた調整を促進する可能性が示された。

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© 2023 日本教育心理学会
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