2023 年 71 巻 2 号 p. 100-116
本研究は,先延ばしのタイプ分類のための簡便な方法を開発することを目的とした。大学生974名を対象とし,先延ばし意識特性尺度,General Procrastination Scale日本語版,決断遅延尺度について回答を求めた。はじめに,混合正規分布に基づくクラスタリングを実施した結果,回答者は4つのタイプに分類された。次に,クラスタリングに重要な変数を選ぶためにランダムフォレストを実施し,重要度指標を算出した。その後,多変量解析を用いずに回答者を分類するため,決定木分析を実施した。決定木分析の結果,状況の楽観視,先延ばし中の否定的感情,先延ばし後の否定的感情,決断遅延尺度の4変数によって,十分な精度で4つのタイプ分類を再現することができた。抑うつやエフォートフル・コントロール,学業成績といった外的基準との関連から,4つのタイプの特徴が把握された。最終的に,各タイプは否定感情クラスタ,楽観クラスタ,遂行優先クラスタ,切替クラスタと命名された。