教育心理学研究
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原著
中学生の謝罪効果に及ぼす加害者の言葉と表情の影響
早川 貴子水野 泰尚
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2023 年 71 巻 2 号 p. 89-99

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抄録

 本研究では,中学生の謝罪効果に及ぼす加害者の謝罪の言葉と表情の影響を検討した。謝罪効果として,謝罪の評価,不快感情,許しを取り上げた。仮想場面における謝罪の言葉(あり,なし)×加害者の表情(罪悪感あり顔,罪悪感なし顔,表情図なし)の6条件を対象者間要因として,中学生200人(中1〔N=94〕と中3〔N=106〕)を対象に質問紙調査を行なった。その結果,謝罪の言葉と表情の影響が謝罪の評価,不快感情で見られ,罪悪感あり顔・謝罪の言葉あり条件の謝罪が最も評価され,不快感情の緩和が見られた。一方,謝罪の言葉と表情が矛盾する条件(罪悪感あり顔・謝罪の言葉なし条件,罪悪感なし顔・謝罪の言葉あり条件)では謝罪をされたと認識されず,不快感情の緩和も見られないことが示唆された。許しについては,謝罪の言葉と表情の影響は認められなかった。これらの結果より,中学生は謝罪の言葉と表情の両方を手がかりにできるが,謝罪の言葉と表情が矛盾すると謝罪に関する情報が適切に処理されないために,謝罪が評価されず,不快感情も緩和されないことから,中学生が謝罪の言葉と表情の両方を考慮できるようになる移行期である可能性が示唆された。

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© 2023 日本教育心理学会
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