教育心理学研究
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自己の重要領域からみた青年期における劣等感の発達的変化
高坂 康雅
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2008 年 56 巻 2 号 p. 218-229

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抄録

本研究の目的は, 青年期における劣等感の発達的変化を, 自己の重要領域との関連から明らかにすることである。中学生・高校生・大学生549名に, 予備調査から選択された劣等感項目50項目への回答と, 自己の重要領域に関する自由記述を求めた。劣等感項目は予備調査と同様の8因子が抽出され, 自己の重要領域に関する記述は10カテゴリーに分類された。自己の重要領域と劣等感得点との関連を検討したところ, 中学生では知的能力を重要領域としており, 学業成績の悪さに劣等感を感じ, 高校生では対人魅力を重要領域としており, 身体的魅力のなさに劣等感を感じていた。そして, 大学生になり, 自己承認を重要領域とするようになると友達づくりの下手さに劣等感を感じるが, 人間的成熟を重要領域とするようになると劣等感はあまり感じられなくなることが明らかとなった。

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© 日本教育心理学会
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