てんかん研究
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抗てんかん薬によるビタミンD3活性化酵素への影響
岩橋 和彦洲脇 寛大西 純一細川 清
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1993 年 11 巻 3 号 p. 271-274

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抄録

骨萎縮性病変発生機序解明の一助としてカルシウム代謝に重要な役割を果たすビタミンD3活性化酵素シトクロムP-450D25の酵素活性における抗てんかん薬の影響について調べた。in vitroの実験においてフェニトインはラット肝臓のミクロソーム系およびミトコンドリア系のP-450D25の酵素活性を阻害することが判明し, しかもミクロソーム系のP-450D25については競合阻害であった。一方バルプロ酸はどちらの系においても阻害作用はほとんど見られなかった。また両薬物をWistarラットに2ヵ月間大量に皮下注射したところ, フェニトインによるミクロソーム系P-450D25の著明な誘導がみられた。以上よりフェニトインはシトクロムP-450D25を介してビタミンD3, さらにはカルシウム代謝に影響を与える可能性があることが判明した。

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