てんかん研究
Online ISSN : 1347-5509
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てんかん患者におけるPhenytoin吸収の問題点
剤形による吸収率の変化とその薬物速度論
木戸 日出喜倉田 孝一木原 義春水野 義陽山口 成良横川 弘一市村 藤雄
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1986 年 4 巻 2 号 p. 93-101

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抄録

Phenytoin末 (PHT (P)) 服用中に大幅な血漿中濃度 (Cp) の変動を認め, PHT錠末 (PHT (T)) またはPHT細粒 (PHT (G)) への剤形変更により変動幅を縮小しえた続発性てんかんの3入院例を経験し, その原因につき薬物速度論的に検討した. 3例中2例は重篤な身体疾患を合併し, 他の1例は精神発達遅滞を伴った幼児であった. 薬物速度論的には, 吸収率FがPHT (T) で0.80, PHT (G) で0.95と安定しているのに対し, PHT (P) では0.54~0.90と変化したと考えられ, 血漿中濃度Cpの変動は, これによって理論的に追跡しえた. したがって, 3例においてPHT (P) 投与中にみられた大幅なCp変動は, 吸収に望ましくない生体側および製剤的条件によって増幅されたFの変化によると推定された.

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