実験社会心理学研究
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原著論文
白色または黒色の着衣が道徳性の自己認知に及ぼす影響
上林 憲司田戸岡 好香石井 国雄村田 光二
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2016 年 55 巻 2 号 p. 130-138

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抄録

社会における善悪判断を左右する道徳性が,外的要因により意識されないまま変化することが知られている。本研究は道徳性に変化を及ぼす要因の一つとして,着衣に注目した。特に,道徳性が白色および黒色と結びついていることに基づき,白色または黒色の着衣が,着用者の道徳性に関する自己認知に及ぼす影響を検討した。参加者は白色または黒色の衣服を着用した状態で,自己と道徳性の潜在的な結びつきを測る潜在連合テスト(IAT)に取り組んだ。その後,道徳性について顕在的な自己評定を行った。その結果,潜在認知と顕在認知のどちらにおいても,白服着用者の方が黒服着用者より,自己を道徳的に捉えていた。これらの結果を踏まえ,着衣が認知や行動に影響を及ぼす過程や,道徳性を変化させる要因について議論した。


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© 2016 日本グループ・ダイナミックス学会
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