実験社会心理学研究
Online ISSN : 1348-6276
Print ISSN : 0387-7973
原著論文
生命科学実験室のグループ・ダイナミックス:テクノロジカル・プラトーからのエスノグラフィ
日比野 愛子
著者情報
ジャーナル フリー

56 巻 (2016-2017) 1 号 p. 82-93

詳細
PDFをダウンロード (1077K) 発行機関連絡先
抄録

本研究は,実験道具の発展とともに歩んだ生命科学実験室の集合体の変化に迫ったものである。AFM(原子間力顕微鏡)という先端装置は,生物学に応用されていく中で,今後の発展の見込みが計算しにくい,テクノロジカル・プラトー(道具-組織のシステムが保っている一時的な均衡状態)にいたっていた。本研究では,このプラトーがいかなる構造によって成り立ちうるのかを明らかにすることをねらいとする。方法として,国内の生命科学実験室を中心とした生命科学集合体へのエスノグラフィ調査を実施した。回顧の語りからAFMと実験室が発展する経緯を分析した結果,手段であった装置が目的となり,さらに手段へと戻るプロセスを通じてプラトーにいたったことが示された。一方,実験室とそれをとりまく関係者を対象とした共時的な観察や聞き取りからは,プラトーの渦中における装置の意味の重なりとアイデンティティのゆらぎが見出された。以上をもとに,考察では,プラトーを下支えする力に注目し,そこに現代生命科学の市場的性質がかかわっていることを論じた。

著者関連情報
© 2016 日本グループ・ダイナミックス学会
前の記事

閲覧履歴
ジャーナルのニュースとお知らせ
  • 電子ジャーナルでカラー図版に対応します

    実社心研は紙媒体とJ-STAGEから提供しているPDFの2つで刊行していますが,これまでいずれもカラー図版に対応していませんでした.著者最終稿としてカラー図版が提供された場合も,グレースケールにして掲載していました.これは,紙媒体だとカラー印刷のコストが大きいことによるものですが,電子ジャーナルであればそのコストはかなり小さくなります.そこで,著者のご希望に応じて,電子ジャーナルについてはカラー図版に対応することにしました(紙媒体は今後もグレースケール化します).ただし,対応には実費(現状で図版1点につき800円(税抜))がかかりますので,これは著者にご負担いただきたく存じます.
    執筆・投稿規程の最後にある「内規」に,「電子ジャーナルにおいては,論文中の図表をカラーで掲載することができる。ただし,希望する場合は当該論文の著者が実費を学会に支払うこととする。」という事項を付け加えたので,ご確認下さい.
  • 2017年10月 『実験社会心理学研究』が変わりました

    1)論文カテゴリ “Short Note” を新設しました
    2)掲載決定論文は可能な限り速やかに電子ジャーナルで早期公開します
    3)投稿時に「チェックリスト」を提出していただきます
    4)電子付録の活用を勧奨します

    詳しくはこちらをご覧下さい.

feedback
Top