協働学習における意見表明は学習活動の根幹であるが,自分の考えを他者の評価にさらすことでもあるため,学び手が他の学び手からの評価をいかに予測しているかを検討することが重要である。本研究は公的自己意識に着目し,協働学習における評価予測との関連を検討した。具体的には,協働学習中に自身が意見を表明する際に他の学び手から受ける評価は,公的自己意識が高いほど低く見積もられるという仮説と,公的自己意識が高く統制感も高い学び手は,公的自己意識が高く統制感が低い学び手に比して,他の学び手から受ける評価を高く見積もるという仮説を立てた。本研究では中学生を対象にグループワークに関する質問紙調査を実施し,重回帰分析を行った。その結果,中学2年生においてのみ公的自己意識と統制感の交互作用が見られ,「学び手自身に対する評価予測」について公的自己意識高群では統制感との関連は見られないが,公的自己意識低群では統制感との正の関連が見られるという,仮説とは異なる結果が得られた。公的自己意識と統制感が評価予測,発言,傾聴といかに関連するかについて議論した。