実験社会心理学研究
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新型コロナワクチンの接種が在留外国人に対する態度に及ぼす影響:行動免疫システムの観点から
田戸岡 好香石井 国雄樋口 収
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電子付録

論文ID: si5-3

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抄録

感染症脅威は行動免疫システムにより外国人に対する偏見を生じさせるが,Huang et al.(2011)によればワクチン接種をすることでそうした偏見を低減できることが示されている。本研究では新型コロナワクチンの接種が在留外国人に対する態度に及ぼす影響を検討した。高齢者のワクチン接種が始まる前に,外国人に対する態度をベースラインとして測定する事前調査を行った。その後,全国的にワクチン接種が進んだ段階で,事後調査を行い,感染嫌悪の個人差,ワクチンの接種状況,ワクチンの有効性認知,外国人に対する態度を測定した。調査の結果(n=520),行動免疫システムの想定と一致して,ワクチン接種が完了していない状態では,感染嫌悪が低い場合よりも高い場合に,外国人に対する不寛容な態度が見られた。しかし,ワクチン接種を完了すると,感染嫌悪による影響が弱まっていた。なお,こうしたワクチンの接種が外国人態度に及ぼす影響は,特にコロナワクチンの有効性を高く認知している場合に顕著であった。考察では新型コロナのパンデミック下においてワクチン接種によって偏見が低減することの示唆について議論した。

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