実験社会心理学研究
Online ISSN : 1348-6276
Print ISSN : 0387-7973
対人態度における好悪感情に関する研究 (I)
Aschの “中心・周辺特性” の意味の再検討
千野 直仁
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1974 年 14 巻 1 号 p. 48-55

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抄録

対人態度における好悪感情形成のメカニズムを明らかにする研究のシリーズの第一段階として, 評定対象の属性に対する評定者の好悪感情を主に取りあげて検討した. この問題に深いかかわりを持つ印象形成に関する従来の研究にならない, 架空の評定対象を用いて, 152名の短大生のSsに, 評定対象の各属性に対する評価値および五つの属性を持った評定対象に対する好悪感情の評価値を評定させた.
結果から明らかなように, 対象人物に対する好悪感情は, 最近の印象形成の研究の流れである複雑な各評価値のウエイトづけ平均モデルを用いなくても, また, Aschのいわゆる要素主義否定の立場を取らなくても, 主に刺激組とは独立に測定された各属性に対する好悪感情の評価値の単純な平均の情報および筆者の操作したPWA (personally worst attribute) という情報のみから, 相当満足できる予測が可能であることがわかった. PWAは, 筆者が独自に操作した操作的概念である. これは, Asch (1946) の言う, 中心特性の概念の背後にあったと思われるbasic traitに近い機能を持つものと言えよう.
なお, 今回の実験では, PWAに対するものと考えられるPBA (personally best attribute) が, 要因として入っていない. 今後, これを含めて検討する必要があろう. また, 今回の実験での仮説中, 認知的複雑性の要因に関する仮説について結果は仮説と全く逆であったわけだが, はっきりとした個人差の要因として, 今後の検討が必要である.

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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