実験社会心理学研究
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14 巻, 1 号
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  • 大坊 郁夫, 杉山 善朗
    1974 年 14 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1974/06/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    二者討論における個体レベルの言語活動性と個体の不安水準との関連を把握することを目的として, 次の実験を行なった.
    高 (H), 中 (M), 低 (L) 各不安水準の女子学生36名を被験者とし, H-M, M-M, L-Mの対それぞれ6組を構成し, 非対面状況での言語的相互作用過程の分析を試みた.
    用いた指標は, 単独発言, 同時沈黙後の単独発言, 同時発言後の単独発言, 単独発言後の同時発言の4種であった.
    得られた主な結果は次の通りである.
    1. 各不安水準間の比較では, Hがもっとも発言強度が大きく, セッションの進行とともに, その増大傾向が明らかであった. Mは発言回数は最大であったが, 発言強度は初期値レベルを保持し, 変動は少なかった. LはMの特徴と近似するが, 受動的侵入率は高い. 各群内では, H>M, M>Lの関係が, 多くの指標について見られた.
    2. Mの比較では, 単独発言時間は, M (L) >M (H) >M (M) となり, 発言頻度はM (M) が最多であった. 発言の持続性, ないし受動的侵入ではM (L) の活動性が最大であった.
    3. 面識の有無のもたらす効果をみると, おおむね非面識群で言語活動性の増大が顕著にみとめられたが, とりわけL-M群において, この傾向が明らかであり, 他方M (M) では, 不明確であった.
    4. 単独発言時間の分布では, 1秒以下の短時間発言が全体の40~50%を超え, 対数関数的な分布型を示していた.
    以上の結果に対して, 不安の動因仮説, 他者認知における類似性-牽引性, 不均衡仮説などとの関連で考察を試みた.
  • 根本 橘夫, 原野 広太郎
    1974 年 14 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1974/06/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 他者のパーソナリティの認知における変容を, 実験的な場面で検討することを目的とした.
    被験者に, 実験協力者とゲームをさせ, ゲーム前後での認知の変容を分析した.
    得られた主な結果は次の通りである.
    1. ゲームで他者に勝った場合は, 認知は他者を低める方向へ変容する. この傾向はself-esteemの低い女子において特に顕著である.
    2. ゲームで他者に負けた場合は, 認知は他者を高める方向へ変容する. ただしこの傾向はself-esteemの低い女子にはあてはまらない.
    3. 認知の変容は, 他者を高める方向よりも, 他者を低める方向で著しい.
    4. 認知の変容は, 場の提示する刺激と直接に関係する側面で著しい.
    以上得られた結果に対し, 幾つかの可能な解釈が提示された.
  • 三隅 二不二, 関 文恭, 篠原 弘章
    1974 年 14 巻 1 号 p. 21-30
    発行日: 1974/06/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 三隅, 他 (1970) による因子分析の結果, PM評定尺度として有効と思われる24項目について詳細な検討を加えたものである. すなわち, 24項目の因子的妥当性およびP尺度, M尺度の独立性を高める項目選択を意図して再分析したものである.
    被験者は, 非監督的業務にある5, 200名. そのうちランダムに400名をえらび分析対象とした.
    分析は, リーダーシップ行動24項目についての直交因子による検討を行ない, その結果に基づくグループ主軸法による因子分析, P尺度, M尺度の独立性を高めるための項目選択を行なった. 結果を要約すれば次の通りある.
    (1) 3因子が見出された. 第I因子; 集団維持の因子, 第II因子; 目標達成の中の圧力の因子, 第III因子; 目標達成の中の計画性の因子
    (2) 尺度構成にあたっては, P, M各8項目を用いることが好ましいことが示された. P尺度, M尺度の相関値はr=. 184を得た.
  • 試行の因子と被験者のパフォーマンスの型について
    三隅 二不二, 篠原 弘章, 佐藤 静一
    1974 年 14 巻 1 号 p. 31-47
    発行日: 1974/06/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 知覚・運動学習におけるパフォーマンス曲線の型とPM式指導条件効果との関係を因子分析法を用いて解析したものである. とくに, 学習曲線の試行についての因子を初期・中期・後期の努力因子という3つにわけてPM指導条件効果を検討した.
    課題は逆ひらがなの模写課題, 休止時間は10分, 休止前試行40試行, 休止後試行5試行 (いずれも1試行30秒). 作業は連続集中作業. 被験者は女子高校生. PM式指導条件は, PM, P, Mそしてpmの4条件である.
    結果を要約すると次の通りである.
    1. パフォーマンスについてPM式指導条件と試行の間に次のような有意差がみいだされた. すなわち, 比較的初期の試行でのパフォーマンスは, P型が最も高い傾向にあり, 中期の試行では指導条件間に有意差がなく, 後期の試行, 特に休止後の試行ではPM型>M型=pm型, P型>M型であった.
    2. 試行間の相関行列に基づいて因子分析し, 軸の回転を行なった結果, 初期努力の因子, 中期努力の因子, 後期努力の因子という3因子が見いだされた. また, 被験者の因子得点は, 初期努力の因子得点でP型が最も高く, 中期努力の因子得点では指導条件間に差がみられず, 後期努力の因子得点ではPM型が最も高かった.
    3. 3つの因子得点プロフィールについて, Cattellのγp係数を被験者間について求め, 被験者のパフォーマンス曲線の型を分類した結果, 次のことがみいだされた. 各試行とも平均以下のパフォーマンスを示す者は, PM型とP型よりもM型とpm型に多かった. また, 各試行とも平均以上パフォーマンスを示す者のうち, 後期試行において初期試行よりも上昇を示す型はPM型に多く, 後期試行において初期試行よりも下降を示す型はP型に多かった.
    これらの結果より仮説1, 2は全て検証された。
  • Aschの “中心・周辺特性” の意味の再検討
    千野 直仁
    1974 年 14 巻 1 号 p. 48-55
    発行日: 1974/06/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    対人態度における好悪感情形成のメカニズムを明らかにする研究のシリーズの第一段階として, 評定対象の属性に対する評定者の好悪感情を主に取りあげて検討した. この問題に深いかかわりを持つ印象形成に関する従来の研究にならない, 架空の評定対象を用いて, 152名の短大生のSsに, 評定対象の各属性に対する評価値および五つの属性を持った評定対象に対する好悪感情の評価値を評定させた.
    結果から明らかなように, 対象人物に対する好悪感情は, 最近の印象形成の研究の流れである複雑な各評価値のウエイトづけ平均モデルを用いなくても, また, Aschのいわゆる要素主義否定の立場を取らなくても, 主に刺激組とは独立に測定された各属性に対する好悪感情の評価値の単純な平均の情報および筆者の操作したPWA (personally worst attribute) という情報のみから, 相当満足できる予測が可能であることがわかった. PWAは, 筆者が独自に操作した操作的概念である. これは, Asch (1946) の言う, 中心特性の概念の背後にあったと思われるbasic traitに近い機能を持つものと言えよう.
    なお, 今回の実験では, PWAに対するものと考えられるPBA (personally best attribute) が, 要因として入っていない. 今後, これを含めて検討する必要があろう. また, 今回の実験での仮説中, 認知的複雑性の要因に関する仮説について結果は仮説と全く逆であったわけだが, はっきりとした個人差の要因として, 今後の検討が必要である.
  • 原岡 一馬
    1974 年 14 巻 1 号 p. 56-68
    発行日: 1974/06/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 原岡が先に提案した態度変容過程のダイナミックス, すなわち, 抵抗の段階, 変容準備段階, 不安定不均衡段階, 再体制化の段階, 安定強化の段階の5段階と, それに伴なう不安度の変化との関係を実証しようとしたものである.
    これまでの研究と異なるところは, 不安度の測定を質問紙による測定の他に, 生理的変化の測度としてGSR反応を用いた点である.
    被験者は大学生で, 男子50名, 女子19名の計69名であり, これらを3つの実験群に分けた.
    態度対象は被験者に共通な関心事である「英語の重要性」と「教養課程における英語授業での指名回数」であった.
    態度変容の実験操作は説得的コミュニケーションを用いた. 各実験群はコミュニケーションの量と質において異なっていた. すなわち, 第I群, 第II群, 第III群の順にコミュニケーションの量が増し, 第I群は英語の重要性についての情報, 第II群はそれに加えて自己の実力の評価に迫る訴え, 第III群は, さらに安定強化情報を提供するように計画された. したがって, 態度変容は, 第I群から第II群を経て第III 群に至るような過程を通るものと仮定された.
    態度測定としては, 英語の重要性, 適切な指名回数と許容範囲の3つを行ない, その変化を測定した. 不安度の測定は質問紙調査とGSR反応の測定とによった.
    また, 不安変化の型に基づいて, ∩字型不安群と漸減型不安群とに再分類し, 態度変容を比較することによって態度変容過程と不安度との関係をさらに明確にしようとした.
    主な結果は次の通りであった.
    1) 実験群は全体として, 説得された方向に態度を変容していた.
    2) 実験条件別態度変化では, 自我に迫るような説得的コミュニケーションを受けた集団が態度変化が大であり, 不安度も高まることがわかった.
    3) 説得的コミュニケーションを受けて不安度を高め, その後で不安を減少させた∩字型不安群は, コミュニケーションを受けても不安度を高めない漸減型不安群よりも有意に大きな態度変化を示していた.
    4) 以上の結果より, 態度変容過程と不安度の関係に関する仮定, すなわち, 抵抗の段階, 変容準備段階, 不安定不均衡段階, 再体制化の段階, 安定強化の段階の5つの段階を通って変化する態度は, 第3段階の不安定不均衡段階に近づくにつれて次第に不安度を高め, その後, 高まった不安を次第に減少させて安定強化することが確認された.
  • 田崎 敏昭
    1974 年 14 巻 1 号 p. 69-77
    発行日: 1974/06/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は斉一者, 同調者, 非同調者, 反同調者に対する反応を知覚レベルで把えようとする試みである.
    31名の大学生の被験者は, 斉一的, 同調的, 非同調的役割をするサクラのパートナーのいずれか2人と共に幾何図形の面積判断を行うという課題が与えられた. さらに, 面積判断の前後に距離知覚装置上で, パートナーの写真を知覚対象として距離定位させることが求められた.
    得られた結果は次のとおりである.
    (1) 被験者は, 面積判断後, 一致者の写真も不一致者の写真も, 装置上における定位位置を負の感情方向 (自己にとって, 不快な対象を定位させる方向) に変化させたが, その変化量に差はなかった.
    (2) 被験者は, 面積判断後, 斉一者の写真を正の感情方向 (自己にとって快な対象を定位させる方向) に変化させたが, 非同調者, 反同調者の写真は負の感情方向に変化させた.
    (3) パートナーが2人共同調者である場合, 被験者は面積判断後, 彼らの写真を負の感情方向へ変化させたが, 1人が同調者1人が斉一者である場合の同調者の写真は正の感情方向へ変化させた.
    このような結果は, 斉一者に対し被験者は正の感情負荷を行ない, 非同調者, 反同調者に対しては負の感情負荷を行なったためと解釈される.
  • 狩野 素朗
    1974 年 14 巻 1 号 p. 78-91
    発行日: 1974/06/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    集団内コミュニケーション・ネットワークの効果性に関する研究において, 独立変数としてのネットワーク特性が従属変数としての集団効果性におよぼす影響を考えるとき, 両者がどのような心理学的メカニズムを媒介して結合されるかという点について, これまでに考察されてきた諸理論を整理し, 並列的に提示した.
    従来からの諸理論はつぎの6つの観点に整理される.
    1. 情報入力量
    情報は集団遂行にとって有用なものであり, ネットワーク内位置により規定されるところの情報入手可能性は解決到達可能性を意味するものであり, これによって個人の遂行性, 作業満足感が規定されると考える. LeavittやShawの解釈にこの立場がみられる.
    2. 自律と飽和性
    他者に依存することなく自分自身でものごとを解決することができるという自律性, 自己決定性, 自由度が特に作業満足感を規定する.
    一方, 各成員には情報処理能力に適正値があるとし, その適正値をこえた入出力があって飽和に達したとき遂行性に対する障害が出ずると考え, この自律と飽和の概念から集団の効果性を説明する立場. 自律性についてはLeavittまた自律と飽和はShawの基幹概念である.
    3. 勢力行使性
    他者への依存度が少ないという「制約からの解放」という消極面よりむしろ積極的に自分でものごとを解決し, その成果を他者に教えるということにともなう「勢力の行使」ということが作業満足感の積極的規定因であると考える立場. Mulderが提唱する立場である.
    4. 適合論
    ネットワーク特性と集団の他の諸特性, とくに課題特性, リーダーシップ特性, 成員の動機づけ状況などとの適合ということが効果性の起因であると考える立場. HeiseとMillerは課題適合, 狩野は課題適合, リーダーシップ適合, 動機づけ適合の考察を行っている.
    5. 組織発達性
    集団内における作業手順の組織化, 体制化のあり方が遂行姓を規定する要因であり, 一旦最適の作業組織が形成されればネットワーク条件の差はあまり意味をもたないと考える立場.
    また統合的構造は活動の初期において作業体制が十分に発達しないうちは中心者依存がもつ弱点としての脆弱性により効率は低いが, 体制が形成された後においてはその統合性により高い遂行性がもたらされると考える.
    GuetzkowらやMulderにみられる立場である.
    6. 組織指定の明瞭性
    ネットワーク特性によって集団内での作業手順の組織化への促進度, あるいは障害度に差があり, このことを通じてネットワークの効果性が規定されると考える立場. とくに手順組織化が進行する際の, ネットワーク条件による役割認知, 自己の位置認知, 構造設定の一義的指定性, 冗長度の少ないことを重要な要因と考える.
    GuetzkowらやLeavittもその実験の考察の一部にこの観点を用いているが, この視点の重要性を狩野が指適した.
  • 1974 年 14 巻 1 号 p. 93a
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 14 巻 1 号 p. 93b
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 14 巻 1 号 p. 93c
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 14 巻 1 号 p. 93d
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 14 巻 1 号 p. 93e
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 14 巻 1 号 p. 93f
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 14 巻 1 号 p. 93g
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 14 巻 1 号 p. 93h
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 14 巻 1 号 p. 93i
    発行日: 1974年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
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