実験社会心理学研究
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集団構造と課題遂行度の要因が集団成員のリーダーシップ機能認知におよぼす効果
坂巻 善生
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1974 年 14 巻 2 号 p. 139-146

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抄録
フォロワーによるリーダーシップ機能認知におよばす, コミュニケーション構造特性と課題遂行度の効果について検討するための実験を行なった.
リーダーシップ行動は, 全被験者 (フォロワー) に客観的に同一条件として与えられるよう, あらかじめテープレコーダーに録音されたものが使用された. コミュニケーション構造としてWheel型とComcon型の2水準が, また課題遂行度は高位課題遂行度条件と低位課題遂行度条件が設定され, その組みあわせによって4つの実験条件群, すなわちWheel型-高位課題遂行度群, Comcon型-高位課題遂行度群, Wheel型-低位課題遂行度群, Comcon型-低位課題遂行度群が設けられた. それぞれの実験条件群は, 4人の被験者からなる4つの実験集団で構成された.
結果はまずリーダーシップのP機能認知について, コミュニケーション構造要因の主効果 (p<. 10) が見いだされ, Comcon構造条件よりもWheel構造条件において, P機能認知得点が高かった. つぎにコミュニケーション構造, 課題遂行度, 試行の3要因交互作用が統計的に有意 (p<. 01) であり, Wheel構造集団では低位課題遂行度条件時にP機能認知得点は高くなり, 高位課題遂行度条件の際に低くなるのに対し, Comcon構造では高位課題遂行度条件で高く, 低位課題遂行度条件の時に低くなることが見いだされた.
M機能認知については, 試行要因の主効果が統計的に有意 (p<. 005) であった. すなわち試行回数によって, M機能認知得点が変化するという結果が得られた.
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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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