実験社会心理学研究
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説得的コミュニケーションによる態度構造の変容過程に及ぼす関連性の効果
境 忠宏
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1975 年 15 巻 2 号 p. 89-97

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抄録

本研究では, 説得的コミュニケーションによる意見変化に伴う感情の変化は態度対象との関連性の高い条件でのみ見られ, またそれはコミュニケーション提示直後でよりも一定時間経過後での方が大であろうという予測を検討した. また, 意見・感情関係の推移や関連性条件と意見変化の難易, 持続性との関係をも検討した. 結果は次の通りである. (1) メッセージ提示により, 関連性高, 中, 低のどの条件でも有意な意見変化が生じた. 意見の平均変化量では条件間にほとんど差がなかったが, dis-crepancyを考慮した相対変化量では関連性中条件での変化が他の2条件よりも大きいという傾向が見られた. 変化した意見は, 関連性高条件では2日後には回復されたが, 中, 低条件では9日後にも維持されていた. (2) メッセージ受容による意見変化と斉合的な感情変化は, メッセージ提示直後に, 関連性高, 中条件にその傾向が見られるのみで, 2日後にはどの条件でも回復方向への有意な感情変化が示された. (3) 意見変化と感情変化が斉合的なものの比率では, メッセージ提示直後の関連性高条件のみが対照群よりも有意に大きい比率を示した. (4) 意見・感情関係は, 関連性高条件でのみメッセージ提示により斉合的関係が強まるという傾向が示された.

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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