実験社会心理学研究
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対人認知過程の構造について
好意的2人関係の因子分析的研究
今川 民雄岩渕 次郎
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1981 年 21 巻 1 号 p. 41-51

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抄録

本論文では, 好意的2人関係における相互的な認知過程の関連を吟味するとともに, その構造に関して因子分析的な検討を行った.
56ペア112名の好意的関係にある男子大学生を被験者とし, 長島ら (1967) のSelf-Differential Scaleによって (1) 自己認知: S→s, (2) 他者認知: S→o, (3) 他者の自己認知についての推測: S→ (O→o), (4) 他者の他者認知についての推測: S→ (O→s), (5) 理想の自己像: S→Isの各認知過程につき, 相互に評定させた. 主な結果は以下の通りである.
1) 好意的な2人関係においては, S→Is: O→Io, S→s: S→ (O→s), S→o: S→ (O→o) の3種が, 最も基本的な認知過程対であることが明らかとなった.
2) 認知過程対の類似度に基づく因子分析の結果, 「自己像の類似性に関わる因子」 「自己像の開示性因子」 「理想化傾向因子」 「他者像の類似性に関わる因子」 「Self-esteem因子」 「他者像の開示性因子」 「自己志向的正確さの因子」 「他者による理想化傾向因子」 「他者志向的正確さの因子」 の9因子が見い出された.
3) これらの因子は認知の対象 (自己・他者) と, 対人認知に働く要因 (正確性・類似性・開示性・理想化) の2次元に基づいて分類された.

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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