実験社会心理学研究
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不確定場面における確信判断
確信反応閾の検出
小野 浩一
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1982 年 21 巻 2 号 p. 129-139

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抄録
本研究は特定の対象-属性関係の観察頻度と信念形成の関係を実験的に検討したものである. すなわち, ある対象の個々の刺激事象を直接観察することによって形成された記述的信念から, その対象の属性についての推論的信念が形成されるには, 一貫した刺激事象が少なくとも何回観察されなければならないか, ということが本研究の主要なテーマである. そこで, 対象の属性についての推論的信念が形成されるのに必要な最少限度の刺激事象の観察頻度を確信反応閾と名づけた.
実験は箱の中に白い石だけが入っていることを, 時系列的なランダム・サンプリングの結果から推定するもので, 判断に要する抽出個数が確信反応閾の値とされた. 実験条件は2つあり, Constant条件は箱の中の石の数が判明しているが, Variant条件は未知である. いずれも集団実験として行なわれ, Constant条件は石の数によってConstant 10, Constant 20 (同一被験者で153名), Constant 30 (62名) の3回, Variant条件は被験者を変えて2回 (Variant I: 64名, Variant II: 255名) にわたって測定が行なわれた.
主な結果は次の通りであった.
(1) Constant条件の確信反応閾は石の数のほぼ1/2である.
(2) Variant条件の確信反応閾はVariant I: 6.571, Variant II: 8.717と2回の測定間で有意な差が生じたが, ともにConstant 20よりは小さかった.
(3) 確信反応閾の値は正規分布に従う.
(4) 確信反応閾の値は試行によって大きく変動する.
(5) 確信反応閾の値には個人差がある.
以上の結果から, 推論的信念が形成される際には, それ以前に一定の量の事実観察が必要であり, それを説明するために閾の概念を導入することが有効であることが示唆された. また, 確信反応閾には相対的確信反応閾と絶対的確信反応閾があり, 人は状況に応じてそれぞれのプロセスを使い分けている可能性が示唆された. さらに, 中期的な確信反応のパターンの理論モデルとしてロジスティック曲線がよく適合するという知見が得られた.
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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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