実験社会心理学研究
Online ISSN : 1348-6276
Print ISSN : 0387-7973
ISSN-L : 0387-7973
依頼の言語的スタイル
岡本 真一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 26 巻 1 号 p. 47-56

詳細
抄録

状況的要因が依頼の言語的スタイルの変動に及ぼす影響を検討するため, 男子大学生を被験者として, 2つの研究が行われた. 研究1では, 被験者 (73名) は同性・同学年の親しい相手, 疎遠な相手に対する, 依頼表現を筆答した. 疎遠な相手に対しては親しい相手に比べて, 6場面中4場面で依頼型が減少, 意向打診型が増加して, 依頼スタイルは間接化することが明らかになった. 研究2では親しい相手に対する依頼に限って, 依頼内容 (場面) によるスタイルの変動が検討された. 2組の恩恵場面群と1組の修復場面群でそれぞれ, 依頼を履行する際の相手のコストが変数として導入された. 被験者 (43名) は依頼を口頭で答えた. 予想された恩恵場面群だけでなく修復場面群でも, 依頼のコストが増すと依頼型が減少し, 意向打診型が増加した. 以上の結果の考察のほか, 他のスタイルの分布や, 慣用句, 依頼の長さについても分析・考察が行われた.

著者関連情報
© 日本グループ・ダイナミックス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top