実験社会心理学研究
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リーダーシップM・計画P・圧力P行動が部下の満足感に及ぼす効果
山田 淑子
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1987 年 26 巻 2 号 p. 125-135

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抄録

本研究は, リーダーシップP (目標達成), M (集団維持) 尺度のPに含まれている2つの因子, 計画Pと圧力Pを独立の要因として, M・計画P・圧力Pの3つのリーダーシップが部下の職務満足 (モラール) に与える影響を検討したものである。企業体従業員35964名の調査結果が分析に使用された。
得られた主な結果は, 次のとおりである。
1. 3要因間の交互作用としては, Mと圧力P, 計画Pと圧力Pの間に高い相互効果が生ずる。
2. 圧力Pは, 単独ではモラールを引き下げるマイナスの効果性をもつがMと計画Pが併存する状況においてはプラスの効果性に転ずる。
3. 計画Pが高いレベルにおいて, 低いレベルよりもM×圧力Pの交互効果が顕著に見出されることから, 計画PはMと圧力Pの交互作用効果をさらに促進させることが見出された。
4. 3要因相互の相関を検討したところ, Mと圧力Pの相関は, 計画Pのレベルによって変化することが示された。計画Pのレベルが高い時のMと圧力Pの相関は無相関となるが, 計画Pのレベルが低い場合のMと圧力Pの相関はマイナスの相関となる。この結果は, 計画P行動, もしくは計画P行動を規定する状況要因によって部下のリーダーシップ認知が変化することを示唆すると考察された。また, 計画PのレベルにMと圧力Pの交互作用が依存することを説明するものと考察された。

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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