実験社会心理学研究
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大学生における孤独感と自己意識
諸井 克英
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1987 年 26 巻 2 号 p. 151-161

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抄録

本研究は, 大学生における孤独感と自己意識傾向の諸側面との関係について検討し, 高校生の結果 (諸井, 1985) との比較によって, 青年期後期における孤独感の様相を明らかにすることを主目的とした。また, S-M傾向を測定する2種の測定を併用し, それぞれの孤独感との関連も含めた妥当性を検討した。被験者は男女大学生396名であった。UCLA孤独感尺度とともに, 自己意識傾向に関する測度として, Rosenberg (1979) の自尊心尺度, Fenigstein et al. (1975) の自己意識尺度, Snyder (1974) のS-M尺度, Lennox & Wolfe (1984) の改訂S-M尺度が用いられた。
主要な結果は以下の通りであった。
1) 男子の孤独感は, 女子よりも有意に高かった。
2) 孤独感は, 男女ともに自尊心およびS-M傾向との間に有意な負の相関, 社会的不安との間に正の相関があり, さらに, 男子では私的自己意識との間に正の相関が認められた。これらの傾向は高校生と同じであった。
3) 重回帰分析や判別分析によると, 男子では自尊心, 社会的不安, 私的および公的自己意識, さらにS-M傾向が, 女子では社会的不安および自尊心が, それぞれ有意な孤独感の規定因であった。
4) 2つのS-M尺度については, Lennox & Wolfe (1984) の改訂版のほうが尺度構成上の妥当性があるといえるが, 孤独感との関係では両尺度ともに興味ある知見をもたらした。

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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