実験社会心理学研究
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科学技術の社会的受容を決定する要因
田中 豊
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1995 年 35 巻 1 号 p. 111-117

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抄録
本研究の目的は, 種々の科学技術及びその産物の社会的受容に共通して重要な要因を, 重回帰分析を用いて探索すること, および種々の科学技術及びその産物を, クラスター分析を用いて特徴の類似した事項同士に分類することであった。調査協力者は埼玉県内の私立大学学部生であり, 男子70名, 女子25名の合計95名が調査に参加した。質問紙の内容は, 14種類の科学技術及びその産物のそれぞれについて, その「必要性」「安心感」「地球環境に対する有益性」「マスコミ報道の好意度」「事業主体に対する信頼性」「社会的受容に対する態度」を尋ねるものであった。そして分析の結果, 「必要性」「地球環境に対する有益性」「事業主体に対する信頼性」の3つの要因を説明変数として, 重回帰式を構成するのが有用であることを見いだした。またクラスター分析により, 各事項を, ポジティブな評価を受けている群か, ネガティブな評価を受けている群かに分類できることが示され, ポジティアな事項の中でも特に「太陽光発電所」が好ましいものとして受け止められ, また逆にネガティブな事項の中でも, 特に「核兵器」が好ましくないものとして受け止められていることが明らかにされた。
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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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