実験社会心理学研究
Online ISSN : 1348-6276
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職場集団へのコミットメントとその規定因に関する構造モデル
百貨店従業員の場合
浅井 千秋
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1996 年 36 巻 1 号 p. 89-102

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抄録

本研究は, 職務自律性, 職務多様性, 役割明瞭性, 個人業績評価, 集団凝集性, リーダーシップの6個の職務環境特性が, 内発的期待, 対人的期待, 経済的期待の3個の期待を高めることによって, 間接的に集団コミットメントを高めるという仮説を検討した。この仮説に基づいて, 集団コミットメントとその規定因に関する構造モデルが構成され, 百貨店従業員143名に対する質問紙調査のデータを用いた共分散構造分析によって, このモデルの妥当性が検証された。分析結果から, 職務多様性, 集団凝集性, 個人業績評価はそれぞれ, 内発的期待, 対人的期待, 経済的期待を高めることによって間接的に集団コミットメントを高めることが示されたが, 職務自律性, 役割明瞭性, リーダーシップは, 集団コミットメントおよび期待との関係が見られなかった。また個人業績評価は, 集団コミットメントに対して経済的期待を通した間接的な正の効果を持つとともに, 直接的な負の効果を持つことが示された。最後に本研究の限界が考察された。

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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