Abstract
本研究の目的は,中学校の校内教育支援センターの運営にかかわる教師の葛藤及び,教師間の共通理解の構築に向けた要因を明らかにすることである.対象とする公立中学校に所属する教師8名に対してインタビューを実施した.また,推進する立場である筆者間で相互にインタビューを実施した.質的に分析した結果,校内教育支援センターの運営をめぐって支援に対する信念の衝突という葛藤が生じていることが明らかになった.教師間の共通理解の構築に向けた要因として,推進する教師が周りの教師を巻き込んでいくために自己の信念を伝達したこと,教師が生徒の前向きな変化を実感したことの2つがわかった.
References
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