企業内技術研修における研修転移への影響要因を時系列的に説明するモデルを構築し,研修転移への影響要因の強さを研修終了直後および半年後の2時点で実施した受講者アンケート (対象研修103講座,回答数1,441件) により評価した.まず,研修内容を業務で活用した実績の評価手法を,回答の信頼性と評価の効率性を重視して考案した.次に,この手法を適用したアンケートを実施して,研修転移をしようとする意志に影響する要因間の関係を共分散構造分析により分析した.その結果,研修転移意志に対する職場環境の影響は,業務での活用実績の高い群と低い群とで有意差がなかった.一方,研修転移意志に対する受講成果の影響については,活用実績の高い群が低い群より有意に高かった.このことは,研修直後の理解度や満足度が高い受講者は,職場の支援に依存するよりも,自律的に研修転移を起こす傾向が強くなることを示唆している.
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