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長田 直, 永田 悠人, 森田 裕介
論文ID: S49026
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/12/01
ジャーナル
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早期公開
本研究では,現場で業務に従事する就業者の自己学習の機会に対する動機づけ構造を明らかにし,年代間の差異について検討した.小売企業X社8店舗の従業員517名を対象に,「就業者用学習動機づけ尺度」の質問紙に回答させた.回答を回収後,因子分析をおこなった結果,3因子が得られた.そこで,年代別で3因子の差を検討するため,混合計画による二要因分散分析をおこなった.その結果,50代および60代以上の就業者は,外的調整や取り入れ的調整の動機づけが同一化的調整や統合的調整よりも低く,自己学習の機会に対する動機づけは,年代間に差異のあることが示唆された.
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遠藤 昭翔, 工藤 日南子, 小野田 亮介
論文ID: S49050
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/12/01
ジャーナル
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早期公開
本研究の目的は,人音声とAI音声との差異が誤情報への評価に与える影響を検証することである.人の音声で読み上げられた誤情報を聞く「人音声条件」(n = 69) と,AI音声で読み上げられた誤情報を聞く「AI音声条件」(n = 62) に参加者を割り当て,音声の印象,音声情報の内容,音声情報の著者に対する評価を求めた.その結果,直後課題と遅延課題の両方で,AI音声は人音声に比べて,音声の印象 (好感度,上手さ,丁寧さ) および著者に対する評価が低かった.一方で,内容への評価には条件間差は認められなかった.AI音声では印象に違和感があっても人音声と同じように情報が伝達される可能性が示唆された.
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通訳教育における興味・理解度の向上と職業倫理の理解
佐藤 晶子, 河野 弘美, 稲垣 勉
論文ID: S49167
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/12/01
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早期公開
本研究は,多文化共生社会で重要性が高まるコミュニティ通訳者の育成に関する教育効果を検証したものである.大学のコミュニティ通訳特論を受講した学生を対象に,授業開始時と終了時の2回にわたってアンケート調査を実施し,通訳の6領域に関する興味・理解度・知識の変化と職業倫理の理解度を測定した.分析の結果,興味・理解度・知識に有意な向上が見られ,教育プログラムの有効性が確認された.特に理解度の上昇が顕著であり,職業倫理については一定の成果を示しつつも,さらなる教育の必要性が示唆された.今後は倫理教育の強化や測定方法の改善が課題である.
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石田 正継
論文ID: S49003
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/11/26
ジャーナル
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早期公開
特別支援学級で作成される書式を一元管理するシステムを利用した結果,小学校特別支援学級教員はどのような業務の負担感が軽減されたのか,また逆に増加した業務があるのかを調査した.利用者54名への質問紙調査の結果,負担感が軽減されたと回答する教員が多数を占めたが,使用初年度群と使用複数年群では使用複数年群の方が軽減を実感している傾向が見られ,負担感が軽減された業務にも差異があった.書式の一元化により,管理及び活用が容易になったことがその要因の一つと考えられる.また,使用複数年群は,目標設定よりも評価・評定における負担感の軽減効果をより支持する傾向があり,目標設定と評価基準を連動させて教材研究を効率的に進められる点が負担感の軽減を実感できる要因であると考えられる.
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松河 秀哉, 新居 佳子
論文ID: S49015
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/11/26
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早期公開
本研究は,ヴィゴツキーの最近接発達領域理論を基盤に,大規模言語モデル (LLM) をより有能な他者として位置づけた自己調整発達の概念の提案を目的とする.最近接発達領域には支援者による足場かけというブルーナー流の解釈と,共演者との共演の場やそこでの活動というホルツマン流の解釈がありうるが,本研究は後者に基づき,LLMとの共演を通した学習者による主体的な発達の自己調整を概念化するものである.本稿ではこれら二つの解釈を対比し,自己調整発達の理論的意義と今後の課題を考察した.この概念の獲得により,学習者が発達の主体性と学ぶ楽しさを取り戻し,学習につながらないLLMの使用が減少することが期待される.
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欧米事例から
田中 恵子
論文ID: S49133
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/11/26
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早期公開
証明書が付与される短期のスキル醸成講座であるマイクロクレデンシャル (以下MC) に対する関心が日本でも高まっている.本稿は,教育工学上の課題としてMCを位置付け,クレデンシャルを介しデータが流通することで実現する学習エコシステムの構成要素と普及のアプローチを探る.欧州,米国がそれぞれどのようにMCを実践,普及しているのかを参照し,バーンスティンの垂直/水平的言説を応用することで,それぞれの特徴を分析した.その結果,欧州では垂直型の知識構造に基づく制度的な整備が進められているのに対し,米国では民間主体のオープンで水平型の特徴によりエコシステム実現につなげていることが示された.
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工藤 日南子, 小野田 亮介
論文ID: S49047
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/11/11
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早期公開
本研究の目的は,インターネットでの誤情報拡散に対する責任帰属の傾向を測定する尺度を作成し,信頼性と妥当性を検討することである.予備調査では,誤情報拡散に対する責任の帰属先として「発信者」,「受信者」,「第三者・運営組織」の3つを想定し,尺度原案を作成した.本調査では,348名を対象とした探索的因子分析を行い,上記の3因子から構成される尺度を作成し,十分な尺度の信頼性を確認した.別サンプルの236名を対象とした確認的因子分析においても,同様の因子構造を確認した.また,既存尺度との関連により,十分な構成概念妥当性を確認した.
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小野田 亮介
論文ID: S49081
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/11/11
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早期公開
教職課程の大学生が教育現場へのAI導入に対してどのような認識を有しているかについて検討した.教職課程の大学生324名を対象として,教育現場にAIを導入することへの態度と,想定される利点と欠点について尋ねた結果,分析対象者 (n = 276) の76%がAI導入に肯定的態度を有しており,全体的傾向としてもAI導入の利点が欠点よりも多く記述されていた.また,AI導入に肯定的な学生は,AIによる均一化された支援ではなく,個別最適化された支援を利点として記述する傾向が認められた.以上の結果を踏まえ,教職課程において教育とAIの関連を論じる上で留意すべき点について考察がなされた.
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原田 勇希, 明平 和駿
論文ID: S49084
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/11/11
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本研究では高校生が進路相談に生成AIを活用する場面を想定し,女性を理工系学部から遠ざけるようなジェンダーバイアスが生じる可能性を検討した.実験では100パターンの相談文テンプレートに対し性別要因,文理要因,教示要因が操作され,「おすすめの大学の学部」の第一候補として提案される学部が分析された.結果として,明確に理系教科が得意とも文系教科が得意とも言えない相談文の場合 (曖昧条件),「女性」という情報が入ることで,理工系学部が提案される確率が低下することが示された.この結果は,性別情報によって生成AIの提案にバイアスが生じることを示した直接的証拠である.教育実践で生成AIを用いる際の留意点を考察した.
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キャリア構成インタビューの実践から
勝又 あずさ, 河井 亨
論文ID: 49099
発行日: 2026/03/20
[早期公開] 公開日: 2025/11/06
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本研究の目的は,キャリアカウンセラーによる「キャリア構成インタビュー」を体験した学生の自己構成プロセスを探索的に明らかにすることである.具体的には,キャリア教育科目の授業終了後に学生4名を対象に,キャリア心理学者SAVICKASが開発したキャリア構成インタビュー(計2回)を実施した.その後の半構造化インタビューのデータをM-GTAを援用し分析した結果,5カテゴリー・19概念が生成された.学生は,“社会・文化的慣行の中での戸惑い”と“対話による気づき”を始点に,“自らをより深く豊かに語る”ようになることで,“内省による自己理解”と“深い省察による自己受容”がなされ,自らのキャリアに対して期待や希望を持つといったキャリア構成プロセスが示された.キャリアカウンセラーによる「キャリア構成インタビュー」では,授業での学生同士の「キャリア構成インタビュー演習」で到達しなかったキャリア構成の一連のながれ「構成・脱構成・再構成・共構成」が確認された.
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鷲谷 佳宣, 当麻 哲哉
論文ID: 49105
発行日: 2026/03/20
[早期公開] 公開日: 2025/11/06
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研究は,デザイナー組織におけるフォロワーシップ向上手法の設計と有効性の検証を目的とした.フォロワーシップの3要素(批判的行動,積極的行動,配慮的行動)に基づき,デザイナー組織特有の業務特性を考慮した半日研修と6ヶ月間の実践プログラムをA社デザイナー12名に実施した.その結果,フォロワーシップとチームワークが向上したことが実証された.特に美術大学での講評経験の捉え方が,批判的行動の発揮に影響を与えるという新知見を得た.美術大学出身者の中にも講評を「成長機会」と捉え初期から批判的行動を発揮できるグループと,「一方的評価」と捉え批判的行動に困難を示すグループが存在した.本研究は「学びの場のデザイン」の枠組みと組織行動理論におけるフォロワーシップ概念を統合し,専門教育と組織行動の領域をつなぐ視点を提供するとともに,デザイナー組織における効果的な人材開発手法の実践的な知見を示している.
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藤川 希美, 高𣘺 泰造, 森田 裕介
論文ID: 48150
発行日: 2026/03/20
[早期公開] 公開日: 2025/11/05
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本研究では,グループディスカッションにおいて受講生が共同編集可能なウェブアプリケーション(ウェブアプリ)を使用した際に,ティーチングアシスタント(TA)がウェブアプリを介入の必要性の判断に活用できるか,またどのような介入がされたかを検討した.ウェアラブルカメラで撮影した動画を再生刺激としたインタビューおよび介入の発話を分析した結果,ウェブアプリの記載内容のみ,あるいはウェブアプリの記載内容と受講生の様子をもとに介入の必要性を判断していた場面が確認され,TAが議論の内容に関する介入を行っていたことが明らかになった.また,グループディスカッションの支援経験が限られたTAにとっては,ウェブアプリと受講生の様子を併せて確認することが介入の必要性の判断に役立つ可能性が示唆された.
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抜山 雄一, 松井 正徳, 拝野 晃希
論文ID: S49017
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/11/04
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早期公開
本研究では,所属企業が発行したオープンバッジが従業員の挑戦に対するモチベーションに与える影響を明らかにするために,企業内研修である新規事業創出プログラムの修了者にアンケート調査を行った.アンケートコメントをSCATによって分析した結果,所属企業が発行したオープンバッジは,挑戦へのモチベーションを向上させること,挑戦へのコミットメントやアルムナイとしての矜持を高めること,専門家としてのセルフイメージの形成を助けること,リフレクションのきっかけになること,修了基準が低いとみなされるとモチベーション向上に寄与しないことが示唆された.
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堀田 雄大, 八木澤 史子, 三井 一希, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
論文ID: S49034
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/11/04
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早期公開
本研究は,授業参観時,参観している教師間で授業観察した児童や授業者の様子を,チャットで即時的に共有した際の投稿数,投稿者,投稿形式,投稿内容の実態を把握し,投稿の特徴を検討した.その結果,観察した内容は短くまとめて投稿される傾向があり,投稿者ごとに投稿数の偏りがあり,テキストのみの投稿が最も多かった.投稿内容には,児童の発言や表現に注目した投稿が多く,テキストと画像を組み合わせることで学習活動の意味を補足して共有していた可能性があり,授業の事実だけでなく,観察内容を意味付ける投稿が確認できた.
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木村 千夏
論文ID: S49094
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/11/04
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大学生に対し画像生成AIを活用した「インターネットニュースの発信者を意識させる授業」を行い,その効果を認識の変容に着目して詳細に検討した.授業実践の結果,画像生成AIを活用して行ったワークは,従来の選択肢ワークよりも,具体的に発信者をイメージできる可能性が示唆された.また,実践前後に発信者を意識するかと尋ねた質問では,実践後,意識すると答える学生が増え,その質問に答えたときに思い描いた各用語のイメージの変容を分析したところ,「インターネットニュースの発信者を意識すること」の認識に変容があったことが示唆された.
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木村 明憲, 大庭 佑紀子
論文ID: 49077
発行日: 2026/03/20
[早期公開] 公開日: 2025/10/28
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本研究は,学生がICTを活用して探究・協働・調整しながら学ぶことによりICT活用指導力に対する意識がどのように変容するのかを明らかにするために実施した研究である.対象科目では,学生用に改訂したICT活用指導力チェックリストを用いて,学生のICT活用指導力に対する意識を調査した.また,学生4名に「授業を受けて最も印象に残ったこと」「授業を受けてのICT活用指導力の変化」「ICTを活用して探究・協働・調整しながら学ぶ授業構成についての意見・感想」の3点を軸に半構造化インタビューを実施した.その結果,本科目の授業を受けることを通して,学生がICT活用指導力に対する意識を高めるとともに,「受講初期はICTを活用することに対して難しさや懐疑心を感じていたものの,ICTを活用した学習者主体の授業を受けることによりICT活用指導力を高めることにつながった」と感じていたことが明らかになった.
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久川 慶貴, 草本 明子, 高橋 純
論文ID: 49032
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/10/23
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学習者が学習活動を自己決定しながら学ぶ授業では,教師は学習者1人1人の学習状況を把握し,指導や助言を行うことが重要となる.近年,めあてや振り返り等の学習状況をクラウド上のスプレッドシート (以下,「学習シート」と称す) で可視化する試みが見られ,教師は記入された情報をもとに,個別指導に活用している.本研究は,教師が学習状況を把握するための,クラウド上の学習シートの項目と活用の実態を明らかにすることを目的として,学習シートに示される項目と,その活用に関する質問紙調査の分析を行った.結果,15のラベルが付与され,学習者の識別情報,学習の目標,学習の指針,学習の進捗,学習の振り返り,という5つのカテゴリが作成された.学習シートは,教師が必要に応じて項目を設定でき,その上で,学習の目標や振り返りをリアルタイムで把握する機能や,学習の指針や進捗などの動的な学習状況を把握する機能を持つ可能性が示唆された.
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鈴木 賢司, 加藤 奈穂子, 尾澤 重知
論文ID: S49033
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/10/10
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早期公開
本研究は,実績を上げる企業トップのミドルマネジメント時代の経験談から成長経験の業種固有性を分析することが目的である.企業幹部の成長経験の研究の知見からコーディングルールを作成し,大規模言語モデルによるセマンティックス (意味,概念) を含めた多変量解析を行った.この結果,製造業の「新たな事業を立ち上げる力」,建設運輸インフラ業の「多様な人と協働し,環境に適応する力」,金融小売サービス業の「顧客と関係性を築き,事業を拡大する力」が示された.本結果は,業種に応じた課題設定と獲得すべき能力についての客観データを提供するもので,現場での実態に即した成長経験を検討する際の参考となると考える.
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齊藤 陽花, 關原 結衣, 佐藤 和紀
論文ID: S49093
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/10/10
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早期公開
本研究は,小学校高学年社会科の教科書における登場人物の発話と表情の特徴を探索的に明らかにすることを目的とした.その結果,①「つかむ」では話し合いを学習活動の手段とし,発話の形式は「問いかけ」が「まとめる」に比べて多く,「まとめる」では話し合いを学習の目的とし,発話の形式は「主張」が多いこと,②表情は,男女1組ごとに3種類のパターンがあること,③発話の内容が社会的な見方・考え方に関するもので,形式が「問いかけ」である時,登場人物には,「驚き」や「困惑」などの表情が使われる割合が高いことが確認された.これらは,学習者が教科書の構成に対する理解を深める手掛かりになる可能性がある.
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山口 洋介
論文ID: S49113
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/10/10
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早期公開
本研究は,社会的交渉を困難にする原因として「自己視点への固着」に着目し,柔軟な道徳的判断力を育む授業開発を目的とした.従来とは異なるアプローチとして,座席のリクライニング問題を題材にした授業を大学生に実施した.調査の結果,リクライニングの許容角度に関して個人差が大きく,多様な判断理由の存在が確認された.小集団での共有を通じて,参加者は自己視点への固着に気づき,異なる視点への理解を深めることができていた.本研究は,明示的ルールが存在しない状況での道徳的判断において,自己視点を相対化する教育の有効性を示唆している.
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教育機関に属さない学習者を対象として
松島 るみ
論文ID: S49066
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/10/01
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早期公開
本研究では,教育機関に所属せず,学びを1年以上継続している成人を対象に,学習継続の関連要因を明らかにすることを目的とした.22歳~69歳までの成人391名を対象に,学習への関与の程度,継続意志,学習に対する自己効力感のほか,日常の学習環境,学習の楽しさ,動機づけ調整方略等について回答を求めた.この結果,継続意志と学習の楽しさ,動機づけ方略との相関が相対的に高いことが確認された.さらに,学習に対する自己効力感,継続意志の双方が高い者と自己効力感は高いにもかかわらず継続意志が低い者を比較すると,周囲の人の応援や学習仲間の存在があること等の学習環境に加え,他者と協同で学ぶ方略の活用程度に差異がみられた.
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黒田 一之, 山﨑 智仁, 井澤 信三
論文ID: S49157
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/10/01
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早期公開
本研究では,感情の言語化に困難を抱える軽度知的障害生徒に対し,知的障害の特性に配慮した上で,認知行動療法に基づいた生成AI を活用し,感情表現支援を実施した.その結果,標的行動である不適切な言葉の表現はベースライン期 (週2~3回) から介入期 (週0~1回) へと減少し,感情表現に改善が見られた.また,自尊感情尺度の「自己評価・自己受容」と「自己主張・自己決定」の向上が確認された.担任教員へのインタビューからは,生成AI が従来の支援では困難であった側面に変化をもたらしたことが考えられた.生成AI は特別支援教育において,知的障害特性に配慮した個に合わせた感情理解支援・感情表現支援ツールとして活用できる新たな可能性が示唆された.
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大久保 紀一朗, 久川 慶貴, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
論文ID: S49162
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/10/01
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本研究では,①メディア特性に関する学習と②情報収集の実施順序が,児童の情報を批判的に吟味し解釈する能力に与える影響を検証した.評価指標として「メディアの特性を理解する能力」「メディアを読解・解釈・鑑賞する能力」「メディアを批判的に捉える能力」の3側面を設定し,学習の前後で測定した.その結果,「メディアを読解・解釈・鑑賞する能力」の向上のみに影響を与え,メディア特性に関する学習を先行させた群でより高い効果が見られた.さらに,同群の高得点群の児童には,学習の振り返りにおいてメディアそのものに着目する傾向が示唆された.
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木原 俊行, 野中 陽一, 小柳 和喜雄
論文ID: S49064
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/09/26
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学校管理職や教育委員会指導主事経験を有する教職大学院の実務家教員が教育実践研究の計画・実施,その論文化に対する認識を深めるためのプログラムを開発した.当該プログラムは,第1部:教育実践研究のあり方についての意見交換,第2部:教育実践研究論文のためのルーブリックの共通理解,第3部:教育実践研究論文の分析・批評から成る.3名の実務家教員が当該プログラムに参加した.事後アンケートに対する実務家教員の回答から,プログラムの目標がある程度達成されたこと,それがプログラムの独自性や構成の工夫によるものであることが確認された.
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安里 基子, 堀田 龍也
論文ID: S49142
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/09/26
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早期公開
小学校社会科教科書のQR コードからリンクしている学習コンテンツのうち,教科書の読解を支援するコンテンツ (以下,読解支援コンテンツ) が,教科書の内容理解の前提となる読解プロセスをどのように支援しているのかを明らかにすることを目的として,読解プロセスの観点から読解支援コンテンツを分類しその特徴を検討した.その結果,中学年は高学年と比較して[情報を取り出す]プロセスに対する支援の割合が高い傾向にあること等が示された.小学校社会科教科書の読解支援コンテンツは,学年段階や,当該学年の学習内容に対応したテキストの特徴に即して,教科書の内容理解の前提となる読解プロセスを支援していることが示唆された.
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後藤 崇志, 高津 遥, 倉島 七海, 西森 年寿
論文ID: 49016
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/09/23
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本研究の目的は,自由研究の課題設定と計画立案の支援を設計し,その有効性について検討することである.小・中学生を対象に,個人的な好みを手がかりに課題を設定し,「理科の考え方」を取り入れた計画立案を支援するワークショップを実施した.参加した児童・生徒に対して,ワークショップ前後に質問紙調査を行い,任意で実際に取り組んだ自由研究の成果物のコピーを提出してもらえるように依頼した.参加した児童・生徒は自由研究にうまく取り組めるだろうという期待を持つようになった.また,実施後の自己評価でも,過去の自由研究よりも課題設定にうまく取り組むことができたと感じていた.さらに,実際の成果物の評価からも,課題価値を認識したテーマを設定し,「理科の考え方」を発揮した自由研究に取り組むこともできたことが示された.結果をもとに,実践の有効性と限界点について論じる.
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岡部 悟志, 木村 治生, 稲垣 忠
論文ID: 49035
発行日: 2025/12/20
[早期公開] 公開日: 2025/09/23
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高等学校の教員が,授業を通じて生徒の資質・能力がどれくらい高まっていると認識しているかを調査した.本研究では,高等学校で導入された「総合的な探究の時間」(以下,単に探究学習とも表記)と,近年広まりつつある「授業でのICT活用」の2つの要因に着目し,大学進学率で分類した学校タイプを考慮した分析を行った.その結果,以下の3点が明らかになった.第一に,学校タイプに関係なく,多くの生徒が問いを立てて情報を収集し,まとめ・発表を行う一連の探究プロセスに取り組むほど,また,生徒と教員が授業で多様なICT活用を行うほど,教員は生徒の資質・能力の向上を実感する傾向がある.第二に,生徒の資質・能力の種類別にみても,探究プロセスに取り組む生徒が多いほど,教員はその向上を認識している.第三に,授業での教員によるICT活用は,生徒の資質・能力が高まっているという実感に関連がない一方,生徒が関与する多様なICT活用の頻度が高いほど,教員は生徒の資質・能力の向上を実感する.探究学習の効果の一部は,授業でのICT活用の効果に吸収されることから,探究学習とICT活用が相互に関連し,生徒の資質・能力向上に対する教員の認識に正の効果をもつ可能性がある.
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立石 力斗
論文ID: 48151
発行日: 2025/05/20
[早期公開] 公開日: 2025/03/28
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本研究の目的は,知的障害特別支援学校において行われる修学旅行の事前学習におけるVRの活用が学習に与える影響を検討することであった.研究協力者は,知的障害特別支援学校の中学部3年生に在籍する生徒7名であった.VR教材と写真を用いたスライド教材を準備し,研究協力者をVRによる学習から行う群とスライドによる学習から行う群に分けた.学習前と各教材による学習後時点で,計3回のテストを実施し,各教材が学習に与えた影響を検討した.テストは,旅行先に関する知識を問う問題と,旅行先に対する認識を問う問題の2種類とした.その結果,①旅行先の知識獲得には教材の違いは影響しないこと,②部屋の広さのような空間の広がりを学習する際にVRが有効である可能性などが明らかになった.今後の課題として,生徒の実態やVR教材の開発方法の違いや没入の程度などが学習に与える影響を検討する必要がある.
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