日本教育工学会論文誌
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早期公開論文
早期公開論文の15件中1~15を表示しています
  • 松田 岳士, 近藤 伸彦, 岡田 有司, 重田 勝介, 渡辺 雄貴, 加藤 浩
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: 47017
    発行日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/18
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,学生が自分自身のすべての学習状況を記録し可視化するシステムの試用版の実証評価を通して,自己主導学習レディネスがシステムの継続的な使用に与える影響を考察した.4大学の1年生から3年生が参加した実証評価における使用継続状況を決定木分析した結果から,自己主導学習レディネスの構成因子のうち,自己責任感が強く,自己効力感も高い学生の中に,外部からの介入がなくても長期間継続して使用する者の割合が高いことが示された.また,様々な状況で効果的な学習ができると考えている程度が高い学生ほどシステムを学習プランニングのツールとみなしておらず,学習記録のモニタリングシステムとして使用する傾向にあった.

  • 山本 朋弘, 中尾 教子, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: S47032
    発行日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,中学校での情報端末の持ち帰りによる家庭学習において,事前にデジタル教材にマーキングすることで生徒の授業参加に関する意識が変化するか,アノテーションとしてのマーキングの効果を分析した.マーキングの有無による比較分析の結果から,事前にマーキングする学習活動によって授業の中で考えが可視化され,生徒が授業に参加しやすいと感じていることが示された.また,教師へのインタビュー調査から,教師が生徒の考えを事前に把握すると共に,授業中にも考えを把握・共有することで,話し合い等に時間を割くことができる等,端末持ち帰りによる家庭学習でのマーキングが有効であることを明らかにした.

  • 煮雪 亮, 中谷 圭佑, 遠藤 正則
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: S47054
    発行日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,高校での物理基礎の授業において生徒の主体的な学びの実現を目指した反転授業デザインを考案し,実際に年間を通して授業実践に取り組むことで授業デザインの評価を行った.その結果,アンケート調査では2019年度・2021年度ともに全体の約6割以上の生徒が主体性が身についたと実感しており,提案授業デザインが長期的実践を通して生徒の学びへの主体性の涵養に有効であることを確認した.また,相関分析から授業を通した知識定着やコミュニケーション力が身についたという実感が生徒の学びへの主体性を支えていることを示唆する結果を得た.

  • コロナ禍中の経験と効力感に着目して
    田口 真奈, 稲葉 利江子, 高比良 美詠子, 辻 靖彦
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: S47061
    発行日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,コロナ禍においてオンライン授業を実施した教員を対象に,オンライン授業の経験とそれによる効力感が授業におけるICT 利用に対する信念にどのように影響し,さらにそれがオンライン授業実施意欲に影響を与えたかを検討した.その結果,ICT 利用に対する信念は,効果,効率,抵抗感という3つの因子でとらえられること,オンライン授業実施意欲に直接影響しているのは,効果,抵抗感であること,信念に最も影響を与えるのは学生の受講態度であることが示された.そして抵抗感は,オンライン授業の経験による授業方略効力感とICT 活用効力感が高いほど軽減され,抵抗感が下がるとオンライン授業の実施意欲が向上する可能性が示唆された.

  • 企業の能力開発支援とプロティアンキャリア志向
    荒木 淳子
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: 46099
    発行日: 2023/10/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/11
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究の目的は企業でリモートワークを行う従業員の自己学習に影響を与える要因を明らかにすることである.2020年のCOVID-19の感染拡大をきっかけとして日本企業でも急速に普及したリモートワークは,従業員の学習やキャリア観に変化を与えたと言われる.そこでリモートワークを行う企業の正規従業員1063名(うち有効回答者数991名)にWebアンケート調査を実施し,このうち31歳以上の回答者899名について,企業の能力開発支援に対する従業員の知覚(PDHRP),自律的なキャリア志向であるプロティアンキャリア志向と自己学習との関連について分析した.パス解析の結果,PDHRPは自己学習に有意な正の影響を与えており,従業員のプロティアンキャリア志向は,PDHRPが自己学習に与える影響を部分媒介していた.今後リモートワークを導入する場合には,企業はリモートワークが従業員の能力開発機会を損なうことがないよう支援を行っていく必要がある.

  • 鵜瀬 亮一, 内山 渉, 大矢 真史, 西原 康行
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: 47058
    発行日: 2024/01/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/11
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究はアイトラッキングシステムを用いて,野球における熟達投手コーチの有する投手指導技術に関する「みえ」をその視点と発話により顕在化させることを目的とした.その結果,「熟達投手コーチに頻出の6つの発話が存在すること」や「熟達投手コーチは投球中“非投球腕”,“ピボット脚”,“骨盤”の順に視点を置く回数が多いこと」,「それらの視点を置く回数は投球局面によって,各身体部位で特徴があること」などが明らかになった.本研究では,先行研究とは異なる方法論で投手指導技術に関する「みえ」の顕在化を試みたが,先行研究が対象とした熟達指導者の「みえ」と共通する部分については,投手指導技術における基本的な着眼点となる可能性がある.指導者の投手育成能力の向上のためにも,様々な方法で投手指導に関する「みえ」を顕在化させ,投手指導の評価法を確立するための基礎資料を増やしていく必要がある.

  • 岩﨑 千晶
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: 47016
    発行日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/04
    ジャーナル フリー 早期公開

    研究の目的は,高等教育におけるライティングセンターの同期型オンラインチュータリングに関するチュータリング方略を明らかにすることである.調査の結果,チュータリング方略の手順として準備,導入,展開,まとめの4段階で構成される7つのステップが抽出され,対面と大きな差がないことが示された.チュータリング方略の構成要素としては「対面と異なる観察や質問を通して,学生の躓きや理解度を把握しようとしている」「画面を通したセッション特有の良さと課題を認識し,対応方法を選択する」「システムトラブルに関して問題なく対応しようとしている」等,6つを導き出した.チューターは学生の視線やキーボードの入力音等,対面とは異なる方法で非言語的側面にも配慮しながら,学生の理解度や躓きを把握し対応するといったオンラインチュータリングならではの方略をとっていることが示された.

  • 稲木 健太郎, 泰山 裕, 大久保 紀一朗, 三井 一希, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: S47055
    発行日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/04
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究は,思考ツールの選択に関するメタ認知にクラウドで共有した他者の振り返りの参照が与える影響を検討することを目的とした.小学校第4学年児童を対象に,思考ツールの選択に関する振り返りをクラウドで学級内へ共有し,参照させ,改めて自覚したことがある場合は振り返りを追記させた.参照前の振り返りにおいてメタ認知に該当する記述数の多かった群を高群,少なかった群を低群とし,記述の分析とインタビューにより参照の影響を検討した.結果,参照が高群と低群のメタ認知を促すこと,参照により,低群では特に自覚が困難だった経験が,高群では特に無自覚になっていた経験が想起され,メタ認知につながったことが示唆された.

  • 松島 るみ, 尾崎 仁美
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: S47002
    発行日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/08/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究の目的は,大学生を対象としたオンライン授業観尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することであった.大学生124名の測定値をもとに因子分析を実施した結果,「学習効果の高さ」「個別最適な学習の促進」「学習・授業意欲の低下」「学習の進めにくさ」の計4因子が抽出された.これら4因子とオンライン授業に対する自己効力感,オンライン授業の効果的活用に関する自己評価,自己調整学習方略との関連を検討したところ,「学習効果の高さ」「個別最適な学習の促進」はオンライン授業に対する自己効力感やオンライン授業の効果的活用に関する自己評価と正の相関を示したことから,本尺度は一定の妥当性を有していることが明らかになった.

  • 藤崎 聖也
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: 47034
    発行日: 2023/09/10
    [早期公開] 公開日: 2023/07/27
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,高等学校公民科の必修科目である「公共」と中学校社会科公民的分野の検定教科書の記述から,「メディア・リテラシー」と「情報リテラシー」を比較した.その結果,公共では,両者を並列したり,同じような表現で異なるリテラシーを言い表したりするなど,公民的分野に比して両者の差異がより曖昧であることがうかがえた.また,「批判」「判断」などがメディア・リテラシーにおいて重要であるのは公共と公民的分野で共通しているが,公共ではより具体的かつ主体的な行動が求められること,電子的なメディアやそれらがもたらす影響に一層の注意を向けようとしていることが示唆されている.加えて,「世論」を形成する「国民」としての意識を求める社会科・公民科ならではの文脈も念頭に置く必要がある.

  • 海﨑 孝斗, 澤山 郁夫, 永田 智子, 藤原 雅弘
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: S47078
    発行日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/24
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,大学生における手書きとタイピングによる日本語記述速度を比較した.またこの際,大学生は,手書きとタイピングではどちらがより速く記述することができると考えているのかという事前予想の正確性にも着目した.その結果,過半数(77.44%)の参加者がタイピング条件のほうが速い(ある定型文について,1分間でより多くの文字数を記述することができる)と予想したにも関わらず,実際には,タイピング予想群と手書き予想群のいずれにおいても,手書き条件の方が,1分間に記述した有効文字数がより多かった.

  • 森 晶子, 清水 佑輔
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: S47076
    発行日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/21
    ジャーナル フリー 早期公開

    2021年4月に,東京大学先端科学技術研究センターの中に発足した「先端教育アウトリーチラボ(AEO)」では,主に高校生以下を対象に,多様な教育実践に取り組んでいる.その教育実践の一つに,全国の高校等による個別の希望に応じ,先端研で取り組まれている学際的な研究内容に関して,当該研究が行われている場で,研究者及び大学院生等と生徒が対話し学びを深める「先端研リサーチツアー」がある.本研究では,このような体験によって,高校生がどのような学びを得ているのか,アンケート結果から分析した.その結果,相当数の生徒が,教科や科目の枠組を超え,教科横断型で文理融合的な視座を得たことが示唆された.

  • 八木澤 史子, 遠藤 みなみ, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: S47020
    発行日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/03
    ジャーナル フリー 早期公開

    情報端末を活用した授業における机間指導中の学習の自律性に関する教師の発話を分析した.2名の教師の発話を学習の自律性の支援の観点から分類した結果,いずれの教師の発話も90%以上が学習の自律性の支援に関する内容で,その内容は,児童の行動の意図を尋ねる「意図」,児童の活動にヒントを与える「ヒント」など9種類のカテゴリに分類された.また,教師の発話の約20%が情報端末の活用に関連する内容だった.一方,教師A,Bの発話は,観察されたカテゴリは共通していたものの,多く観察された発話のカテゴリは異なり,教師Aは「ヒント」「意味や理由の説明」が多く,教師Bは「意図」「代弁」が多く観察された.

  • 草本 明子, 高橋 純
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: 46140
    発行日: 2023/09/10
    [早期公開] 公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究は,自己決定理論に基づき,自律性の欲求・有能性の欲求・関係性の欲求(以下,3欲求)を向上させることに着目したクラウド環境を基盤とした協働学習における1人1台端末(以下,PC)活用の有用性について,理科授業におけるPC活用の経験の有無と課題の難易度から比較検討することを目的とする.実践1では,理科授業において初めてPCを活用する学級を対象として中学校化学の授業における協働学習を行い,実践2では,理科授業において日常的にPCを活用している学級を対象として中学校物理の個別実験における協働学習を行った.結果,自由記述調査では,3欲求の向上に関して実践1で42.5%,実践2で67.1%の記述が見られた.また,PC活用の有用性の大小を検討した結果,理科授業におけるPC活用の経験と課題の難易度が影響することが示唆された.

  • 阿部 真由美, 遠藤 健, 森田 裕介
    原稿種別: 研究論文
    論文ID: 46068
    発行日: 2023/09/10
    [早期公開] 公開日: 2023/05/10
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,2020年度秋学期の大学での授業について,大学生を対象としたアンケート調査を実施し,学生が「有益」だととらえた授業の形態とその傾向を検証した.授業形態は,対面とリアルタイム,オンデマンド,さらにそれらの組み合わせといずれも含まない8つの形態に分類した.その結果,次の点が明らかになった.まず,「有益」な授業には,対面やリアルタイムでの同期型の授業が含まれていた.また,同期型の授業では,履修者の発言や授業内の協調活動が活発だった.一方,授業外の協調活動は対面授業によって促進される可能性が示唆された.さらに,授業の区分や規模,学生の学年により,「有益」な授業形態の傾向に違いが見られた.

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