森林立地
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北関東の中山間地域の農用林における落葉および落葉堆肥生産と水田施用の有効性
逢沢 峰昭乾 友恵平井 英明大澤 和敏池田 純子大久保 達弘
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2013 年 55 巻 2 号 p. 119-126

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抄録

北関東の中山間地域において,林地と農地の一体的利活用と有機物を用いた米生産に向けて,農用林から得られる落葉量,落葉堆肥の材料となる落葉量,そこから生産される堆肥量,水田投入量の測定を行い,水田1 haへの施用に必要な落葉および落葉堆肥を得ることができる農用林の林分面積を調べた。さらに,これらの有機物を用いて水稲栽培試験を行い,養分組成からみた水田施用の有効性を検討した。測定の結果,農用林から少なくとも5 Mg/haの落葉を確保できること,低温季からでは約9ヶ月で落葉487 kgから230 kgの落葉堆肥を生産できることがわかった。また,水田1 haへの施用に必要な落葉および落葉堆肥を確保することができる林分面積は1 ha程度であることがわかった。落葉および落葉堆肥の養分組成を調べた結果,肥効率を考慮した落葉および落葉堆肥の窒素量は,一般的な施肥基準量に達していなかった。しかし,落葉および落葉堆肥のリン酸とカリウムは,施肥基準量の10%以下であったため,リン酸やカリウムの過剰蓄積に対する低成分肥料として期待された。ただ,落葉および落葉堆肥を用いて栽培した2011年の米収量は,化成肥料を用いた慣行農法の8割程度と低くはないものの,無施肥区と比べると肥料効果は限定的であった。

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© 2013 森林立地学会
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