森林立地
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論文
  • 大貫 靖浩, 古堅 公, 生沢 均, 後藤 秀章, 新垣 拓也
    原稿種別: 論文
    2018 年 60 巻 2 号 p. 45-54
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/02/02
    ジャーナル フリー

    沖縄本島最北部において,皆伐が林床面に及ぼす影響が最も明瞭に出現すると考えられる土壌含水率と地温に焦点を当てて,皆伐地と隣接する林分内の多点で表層土壌環境測定を実施した。皆伐の影響を詳細に把握するために,45地点で土壌断面調査や土層厚測定を実施し,各地点の土壌型,微地形単位,表層土層厚を明らかにした上で,そのうち皆伐地と隣接林分内の34地点における土壌含水率・地温の違いやそれぞれの季節変化について検討した。その結果,冬季を除き土壌含水率と地温は皆伐地と隣接林分で明瞭な違いが認められ,特に尾根部と谷部の境界付近に位置する谷頭凹地で,土壌含水率の差は10%弱に達した。皆伐地内の斜面上部と下部では,隣接林分との土壌含水率の差は大きく異なり,皆伐前は湿潤であったと考えられる斜面下部でより乾燥が進み,弱乾性黄色土(YC型)も出現していた。斜面下部の流路沿いの部分は,バッファーゾーン(土砂流出防止保護樹帯)として特に熱帯域では伐採が制限されている。沖縄本島を含む亜熱帯島嶼域で皆伐(主伐)を行う際には,より乾燥しやすい斜面下部を保護樹帯として残す形の施業が望まれる。

  • 渡邉 仁志, 井川原 弘一, 横井 秀一
    原稿種別: 論文
    2018 年 60 巻 2 号 p. 55-61
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/02/02
    ジャーナル フリー

    岐阜県南部のヒノキ人工林において,下層植生の植被率と優占種によって分類した従来の下層植生タイプ(シダ型,草本型,低木型,貧植生型)にササ型を追加し,これらの表土流亡の抑止効果を再序列化した。ササ型はシダ型に比べ高標高に出現し,光条件が悪化した林床にも出現する可能性が示された。表土流亡の危険性の間接的指標である土壌侵食危険度指数は,全植被率合計が高い林分で小さい傾向が認められた。一方,ササ型の林分では,全植被率合計が草本型や低木型と同程度であったが,土壌侵食危険度指数はそれらの林分より小さかった。ササ型は草本層の植被率合計が高く,葉層とリター層が重層的に地表面を被覆していることから,表土流亡が発生しにくいと推測される。したがって,ササ型をヒノキ人工林下の下層植生タイプとして独立させることは有効である。ササ型を加えると,土壌侵食危険度指数には小さい順にシダ型<ササ型<草本型≦低木型≦貧植生型の序列が認められた。この結果は,下層植生による表土移動量の評価手法の汎用性を高めることに貢献する。

  • 溝口 拓朗, 伊藤 哲, 光田 靖, 山岸 極, 平田 令子
    原稿種別: 論文
    2018 年 60 巻 2 号 p. 63-70
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/02/02
    ジャーナル フリー

    人工林主伐後の土砂移動と植生発達の相互作用について,土砂移動を植生回復の抑制要因とみる考え方と,回復した植生を土砂移動の抑制要因とみる考え方の両面からとらえ,これら二つの仮説を検証することにより,スギ人工林皆伐後約1年間の土砂流出と植生回復の関係を明らかにした。100年生スギ人工林伐採後約1年間の土砂移動量,降雨量,植被率を調査した。各計測期間の平均植被率と降雨で基準化した土砂移動量(土砂移動レート)の間には,全測定期間を通して明瞭な関係は見られず,決定木分析でも土砂移動量の大小を明瞭に区分できるような植被率の閾値は検出できなかった。これに対して,各計測期間で標準化した植被率増加速度は,生育期間中は土砂移動量の絶対量が小さいときに大きい値を示す傾向が認められた。決定木分析でも,土砂移動量が22.25(g/m/day)を下回ると,標準化後の植被率増加速度が大きくなることが示された。以上のことから,皆伐直後の植被率が小さく土砂移動量が大きい段階では,土砂移動が植生発達との相互作用を支配する要因になっており,植生によって土砂移動が抑制される効果よりも,土砂移動が植生発達を抑制する効果の方が大きいことが明らかとなった。また,土砂移動および植生発達の空間的な不均一性は林道開設による不安定土砂の生成や林地の枝条残材の影響を受けることが明らかとなった。

総説
  • 伊藤 江利子, 橋本 徹, 相澤 州平, 石橋 聰
    原稿種別: 総説
    2018 年 60 巻 2 号 p. 71-82
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/02/02
    ジャーナル フリー

    地がき(かき起こし)は,林床に密生するササを大型機械で根系ごと除去して鉱質土層を露出させ天然更新を図る更新補助作業である。本稿では北海道林業における地がき作業の経緯,および地がきの成否に関わる要因について,主に土壌撹乱影響についての既往研究を基にとりまとめた。地がきは1960年代から北海道で広く実施され,地がき地の更新成功率は極めて高かった。過去の地がき事例からは,(1)表層土壌物理性の保全とササ除去の両立が更新要件であり,(2)地がきカンバ林の成長は非地がきカンバ林より良好であるものの,(3)養分条件に及ぼす表層土壌の除去影響は無視できないことが示唆された。既往の地がきカンバ林研究は大多数が林齢20年生以下の林分を対象としている。このため,地がきカンバ林から最終的に収穫可能な材積や径級,およびそれらに対する地がきによる土壌攪乱の影響は不明である。さらに,地がきによる低コストのカンバ林造成が,主伐期を迎える北海道トドマツ人工林伐採後の選択肢として有望であると提言した。今後,地がきカンバ林業を実用化するためには,過去の不成績造林地の原因究明を図り,低標高地で懸念される草本繁茂の対策をとるなど,地がきの仕様を立地条件に合わせて改良する必要がある。

短報
  • 丹下 健
    原稿種別: 短報
    2018 年 60 巻 2 号 p. 83-86
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/02/02
    ジャーナル フリー

    森林吸収源の算定に用いられるバイオマス拡大係数(拡大係数)の加齢に伴う変化を,東京大学千葉演習林の高齢級を含む既報のスギ人工林の現存量調査結果を用いて検討した。拡大係数は,高齢なほど,平均樹高が高いほど,小さい傾向が認められた。千葉演習林と他県の林分でそれらの関係は異ならなかった。千葉演習林の林齢80年生以上の7林分の拡大係数は1.14 ± 0.05(平均 ± 標準偏差)であり,日本が森林吸収源の算定に用いている21年生以上のスギ人工林の拡大係数1.23より小さかった。高齢林分の葉現存量は,若齢林分の葉現存量と同等か少ない傾向にあり,枝現存量は同等か多い傾向にあった。拡大係数を規定する幹現存量と枝・葉現存量の関係は,幹現存量が100 t ha-1未満の場合は31.7 ± 6.6 t ha-1,100~200 t ha-1の場合は36.4 ± 6.1 t ha-1,200 t ha-1以上の場合には49.6 ± 9.5 t ha-1であった。幹現存量が200 t ha-1以上で幹現存量の増加に伴って枝・葉現存量が増加する傾向は認められなかった。高齢林での枝現存量の増加は加齢に伴う拡大係数の低下傾向を緩和するが,その影響は限定的であり,蓄積の大きい高齢林の拡大係数は壮齢林より小さくなると考えられた。

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