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森林立地
Vol. 56 (2014) No. 1 p. 37-48

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http://doi.org/10.18922/jjfe.56.1_37

  • 抄録

東日本大震災の大津波による海岸林の復旧・再生に向け,林野庁は,防潮堤の復旧等の基盤造成が完了した箇所から植栽を行って,概ね10年で植栽事業を完了できるよう取り組んでいる。これまでの研究により,土壌への海水浸水や地表面への海砂の堆積は樹木の過剰な塩分吸収や集積,海水由来の塩分の拮抗作用による養分の吸収阻害,根の細胞内外の浸透圧差の減少に起因した樹木の吸水能力の低下を起こすことが知られている。効率的に海岸林の再生・復興を進めるには,津波被災後の土壌環境を把握して対策を講ずる必要がある。被災林の土壌調査の結果から,海塩付加による土壌への過剰なNa^+集積や,樹木の養分吸収を助ける菌根菌が活発に活動するA層のpH環境の激的な変化,地盤沈下に伴う地下水面の相対的な上昇が,樹木根系に著しい影響を与え,海岸林構成樹における針葉の褐色化,赤枯れ発生の原因となったと考えられた。海水の影響を受けた森林土壌は除塩の実施が必要であるが,森林を対象とした除塩事業の実施はその立地条件等から困難であることから,梅雨や台風など自然の降雨に期待せざるを得ない。効率的に除塩を進めるには排水溝の施工等の被災土壌における排水環境の改善が重要である。海岸林の再生を果たすため,今後も被災海岸林の土壌環境の改善状況を継続的にモニタリングしていく必要がある。

Copyright © 2014 森林立地学会

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