森林立地
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河川敷におけるニセアカシアの再生防止を目的とした「切り下げ工法」の効果
武藤 輝行小山 浩正
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2014 年 56 巻 2 号 p. 107-110

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抄録

ニセアカシアの駆除を目的に,山形県赤川の河川敷においてニセアカシア林分の伐採後に切り下げ工法を実施した。切り下げ工法は平均低水位と地表高との比高差を利用し,冠水頻度を高めることでニセアカシアの再生を抑制する工法である。すでに平均低水位に比べて1.0m程度高い地点まで切り下げる方法(平均低水位+1.0m)がニセアカシアの再生を抑止する効果があるとされている。しかし,この方法には土砂が大量に排出される問題が残っている。本報告では,土砂の排出量を抑えつつニセアカシアの再生も抑制できる切り下げ高を見極めるために,平均低水位+1.5mおよび+2.0mの切り下げ効果を調べた。赤川河川敷の踏査から,平均低水位+1.5m以下では年平均の冠水日数が多く,ニセアカシア群落も成立しにくい傾向にあった。また,ニセアカシアの稚樹は,平均低水位+1.5mを目標に施工された試験区では施工後3年が経過しても少なかったが,平均低水位+2.0mで施工された試験区では,施工後1年間で高密度に再生していた。このことから,河川敷において土砂排出量を抑えつつニセアカシアの再生を防止するのに有効な切り下げの程度があることが示唆された。

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© 2014 森林立地学会
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