抄録
育林作業用機械のベースマシンの開発を目的として,直動形脚機構,支持用補助脚,機体可変構造を有する歩行機械を試作し,歩行実験を行った。直動形脚機構は,脚先の直線動作が簡易に行なえるので,遊脚動作や,機体の移動が容易となる。支持用補助脚は,支持脚領域を拡大し,重心の揺動によらない静的歩行を可能にする。機体可変構造は,直動形脚機構との組み合わせで,傾斜地上でも支持脚領域内に重心の投影点を保つことが可能である。試作機を用いて,4種の歩容による平坦地歩行実験と砂地踏み越え実験を行った。実験の結果,遊脚を右前脚,左後脚,左前脚,右後脚,補助脚の順に行う歩容は,ロールとピッチの揺動が±1°以内に保たれ,最も安定した歩容であることが確かめられた。砂地踏み越え実験では,脚先の沈み込みによるロール方向の傾きを抑制するために,脚の伸縮による機体の水平制御を導入した結果,ロールとピッチの揺動を±1°以内に保った歩行が実現された。