森林利用学会誌
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12 巻, 1 号
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論文
  • アルンプラパラット ワンチャイ, 田坂 聡明, 越智 士郎
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    コンピュータを利用した路線計画システムでは,路線通過区域の概略が決定された後,さらに詳細な配置計画が必要となる。この際,予定地の傾斜,建設費用,排水,環境への影響などをはじめとする多くの因子に対する配慮が必要となる。しかしながら因子数の増加は配置計画作業を複雑化させる。特に,民有林の細部路網を検討する場合には,基礎データの入手が困難なことが多いので,できる限り少ないデータを使い簡単な手法で線形を決定することが求められてくる。本研究では,ARC/Infoによるネットワーク解析法を利用して山岳地域での計画路線の配置手法を検討した。解析は斜面傾斜,建設費用,路線長を入力パラメータとして二種類の方法を検討した。一つは斜面傾斜と路線長の組み合わせによるもの(手法1)で,もう一つは斜面傾斜と建設費用の組み合わせによるもの(手法2)である。斜面傾斜は各ノードから次のノードに路線を延ばす際の可否を決定する要因として機能し,路線長と建設費用パラメータは各々路線長と建設費用を最小にするためのパラメータとして機能する。結果は二つの手法とも既往の林道とほぼ等しい線形を得ることが明らかとなった。ただし入力パラメータ作成の簡便さの点で手法1が手法2よりも民有林の路線設計支援のためには効果的であると判断した。
  • 後藤 純一
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    林分の価値生産性を高めるために行われる間伐作業においては,林分の損傷を最小限にとどめることが重要である。そこで,軽架線を用いた間伐材の集材作業において,林地や残存立木の損傷発生頻度と現地の地形因子との関係を小型モービルタワーヤーダでの作業から明らかにしようとした。集材線と林地斜面の最大傾斜線方向との偏角が大きいほど,また,横取り材積が多いほど,損傷を受けた残存木の本数は多く,また,元柱と先柱の平均支柱高と現地の縦断形状に照らして鼻上げ集材に必要な支柱高との差が小さいほど,集材線直下における土壌の締固めが大きい。しかし,後者についてはその差が負である条件において,土壌硬度が著しく増加したものの,根系の発育を阻害するに至るほどの値ではなかった。一方,林床の有機物層が剥離される面積とこれらの地形因子とには明確な関係は見出せなかったが,事例的な傾向としては,索と地表との間に十分な余裕がない,あるいは横断形状に大きな偏りがある場合に損傷を受けやすい。以上の成果から,現地で調査した縦断形状や横断形状といった地形情報に基づく間伐作業時の集材線の設置適否判定の有効性が明らかとなった。
  • 熊倉 由典, 福田 章史
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    育林作業用機械のベースマシンの開発を目的として,直動形脚機構,支持用補助脚,機体可変構造を有する歩行機械を試作し,歩行実験を行った。直動形脚機構は,脚先の直線動作が簡易に行なえるので,遊脚動作や,機体の移動が容易となる。支持用補助脚は,支持脚領域を拡大し,重心の揺動によらない静的歩行を可能にする。機体可変構造は,直動形脚機構との組み合わせで,傾斜地上でも支持脚領域内に重心の投影点を保つことが可能である。試作機を用いて,4種の歩容による平坦地歩行実験と砂地踏み越え実験を行った。実験の結果,遊脚を右前脚,左後脚,左前脚,右後脚,補助脚の順に行う歩容は,ロールとピッチの揺動が±1°以内に保たれ,最も安定した歩容であることが確かめられた。砂地踏み越え実験では,脚先の沈み込みによるロール方向の傾きを抑制するために,脚の伸縮による機体の水平制御を導入した結果,ロールとピッチの揺動を±1°以内に保った歩行が実現された。
  • 豊川 勝生, 市原 恒一, 澤口 勇雄
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    異なる周波数分布を持つ6種類の衝撃騒音(被験者耳元で75dB)暴露下の被験者8名の生理応答の測定と官能評価を行った。脳波のα,β,θ波と心拍数の増加率,CV-RRを指標にした生理応答による評価では,高音を持つ騒音で不快感が増す傾向にあった。6騒音をコントロール音と比較させた形容詞20対による不快感調査結果をSD法で分析した結果,5因子(好感度,安定感,重量感,速度感,質量感)が抽出された。また,不快感をAHP法で分析した測度(加法性測度)と,ショケイ積分を用いた2ファジィ測度(可能性測度,必然性測度)で評価した結果,高音を持つ騒音で不快感が増す傾向を示した。高音を持つ騒音は,可能性測度の評価で「重量感,速度感」で不快感が減少するが,必然性測度の評価で「好感度,安定感,質量感」で不快感が増加した。よって,脳波や心拍数を使った生理応答による評価方法と官能検査結果をAHP法,ショケイ積分を用いた3測度で分析する官能評価法は,同一結果を示したことよりその有効性が検証され,また,2ファジィ測度による評価法は,騒音に対する人間感覚の細部にわたる評価が可能であることが示された。
  • 周 向陽, 藤井 禧雄
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    前報では,急傾斜地における伐出作業システムを検討したが,本報では,緩傾斜地におけるハーベスタおよびフォワーダによる作業システムについて検討した。パーソナルコンピュータ用シミュレーション言語GPSS/PC^<TM>を用いて独自に作成したプログラムを応用して,緩傾斜地での最適作業条件や機械の組み合わせなどに関するシミュレーションを行った。本プログラムでは,作業方法として各種間伐や皆伐作業を選定できるが,現場調査データが得やすいカラマツ人工林の間伐作業を例として取り上げ,検討した。その結果,次のような本作業システムの特徴が明らかになった。(1)フォワーダ(後行機械)の作業能率が,ハーベスタ(先行機械)能率の約85%と,幾分低い方が仕事待ちの時間が少なくなる。(2)作業中にたびたびの仕事待ち時間が発生するよりも,フォーワーダ作業の開始時間を(ハーベスタ作業より)遅らせる方が,作業システムが円滑になる。(3)フォワーダの作業功程は,荷台容量,間伐率,樹齢と正の相関を,伐区の長さと幅,土場までの距離とは負の相関を示した。
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