異なる周波数分布を持つ6種類の衝撃騒音(被験者耳元で75dB)暴露下の被験者8名の生理応答の測定と官能評価を行った。脳波のα,β,θ波と心拍数の増加率,CV-RRを指標にした生理応答による評価では,高音を持つ騒音で不快感が増す傾向にあった。6騒音をコントロール音と比較させた形容詞20対による不快感調査結果をSD法で分析した結果,5因子(好感度,安定感,重量感,速度感,質量感)が抽出された。また,不快感をAHP法で分析した測度(加法性測度)と,ショケイ積分を用いた2ファジィ測度(可能性測度,必然性測度)で評価した結果,高音を持つ騒音で不快感が増す傾向を示した。高音を持つ騒音は,可能性測度の評価で「重量感,速度感」で不快感が減少するが,必然性測度の評価で「好感度,安定感,質量感」で不快感が増加した。よって,脳波や心拍数を使った生理応答による評価方法と官能検査結果をAHP法,ショケイ積分を用いた3測度で分析する官能評価法は,同一結果を示したことよりその有効性が検証され,また,2ファジィ測度による評価法は,騒音に対する人間感覚の細部にわたる評価が可能であることが示された。
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