森林計画学会誌
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論文
燃料チップ生産のための巻き枯らしによるスギ樹幹の天然乾燥
寺岡 行雄 加治佐 剛東 大介園田 高士前田 清水畑 邦彦
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2024 年 57 巻 2 号 p. 37-44

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抄録

寺岡行雄・加治佐剛・東大介・園田高士・前田清水・畑邦彦:燃料チップ生産のための巻き枯らしによるスギ樹幹の天然乾燥,森林計画誌57:37~44,2024 巻き枯らし処理によりスギ立木の樹幹含水率を低下させ,乾燥チップ用ボイラーに利用できる含水率の燃料チップを生産することが可能か,実験的に明らかにした。鹿児島県垂水市のスギ48年生の10本で巻き枯らし処理を行い,16ヵ月間の乾燥試験を行った。巻き枯らし木の9本は開始後3.5ヵ月から13.5ヵ月で枝葉が褐色化し枯死したが,1本は16ヵ月後も枯死しなかった。試験終了後に,未処理木5本と同時に伐倒後,1本毎にチップ化し,スギチップの含水率(湿量基準)を全乾法により測定した。枯死した個体からのチップ含水率は42%以下であり,乾燥チップ用ボイラーでの燃料として利用可能であると判断された。枯死した巻き枯らし木と未処理木でのチップ含水率の差を分散分析したところ有意な差が認められた。以上より,間伐等実施の1年以上前に巻き枯らし処理を行い伐倒時点で枯死が確認できていれば,乾燥チップ用ボイラーで利用可能な含水率の燃料チップを安価に製造できると考えられた。

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