日本森林学会誌
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論文
列状間伐がヒノキ人工林の植生回復と表土流亡の抑止に及ぼす長期的影響
渡邉 仁志 千村 知博堤 隆博三村 晴彦
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2020 年 102 巻 6 号 p. 341-345

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抄録

列状間伐が下層植生の動態と表土流亡の抑止に及ぼす長期的な影響を明らかにする目的で,ヒノキ人工林を点状および列状(1伐2残,2伐4残,3伐6残)に伐採し,下層植生と地表面の状態を比較した。間伐後,短期的には伐列の光条件が向上し植被率が増加した。しかし,間伐後12年目の相対散乱光強度は3伐列のみが高く,その他の調査区では数年の間に低下した。3伐列は他の調査区より植被率やリター被覆率が高く,表土流亡の間接指標である土壌侵食危険度指数が低かった。また,土壌侵食危険度指数は,植被率やリター被覆率が高い調査枠で低い傾向がみられた。伐採幅に起因する光条件の違いによって,下層植生が維持されリターの移動が抑制されたため,3伐列では,両者による地表面の被覆により表土流亡が低減したと推測される。

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© 2020 一般社団法人 日本森林学会
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