露地栽培中のマルチキャビティコンテナは,側面に日射を直接受けるため太陽放射を吸収しやすく,外側に位置する苗は,他よりも根域温度が高くなる環境にあることが想定される。そこで,側面を遮光したコンテナと未遮光のコンテナにおいて,根域温度と苗の根系および樹高と根元径の生育状況を調査した。未遮光区では,日中の根域温度の最高値は中央のキャビティより外側のキャビティで高かったが,遮光区では,日中の根域温度の位置差は未遮光区より小さくなった。根域の積算温度の処理区間差は東側,南側,西側,北側,中央のキャビティの順で大きかった。また,未遮光区の南側,東側,西側では,遮光区に比べ,根鉢の日射面の根の表面被覆率が減少したことに加え,東側では苗高の成長量も小さい傾向がみられた。そのため,より生育に適した温度環境を維持できるコンテナ側面の遮光は,実用上有効であると考えられる。