日本森林学会誌
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論文
豪雪地の山腹工施工地に植栽されたミヤマカワラハンノキの成長と樹形
—治山植物としての可能性の検討—
長谷川 幹夫相浦 英春高橋 由佳吉田 俊也
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2008 年 90 巻 6 号 p. 372-377

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抄録
ミヤマカワラハンノキの治山植物としての可能性を探るため, 成長と樹形を使用頻度の高いミヤマハンノキ・ヤマハンノキと比較しつつ検討した。豪雪地の山腹工施工地において, 3種の植栽木の樹高・樹冠直径を9∼18年間, ミヤマカワラハンノキとミヤマハンノキの萌芽幹の樹幹長と根元直径を18年間にわたって調査した。ミヤマカワラハンノキは他種に比較して樹高成長より樹冠の拡張を優先する傾向が強く, 植栽から3年後で樹高130cmに対し, 樹冠直径は110 cmに達した。ヤマハンノキが9年後までに雪圧害を受け衰退したのに対し, ミヤマカワラハンノキは被害が少なく施工地で優占していた。この違いは, ミヤマカワラハンノキが多くの萌芽幹をもち, 雪圧害を受けにくい樹形を形成することによるものと考えられた。ミヤマハンノキは両種の中間的な樹形であった。以上のことから, ミヤマカワラハンノキは豪雪地での治山植物として有用であると判断した。
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© 2008 一般社団法人 日本森林学会
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