日本森林学会誌
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論文
雄性不稔遺伝子を保有したスギの列状配置型室内ミニチュア採種園の有効性
斎藤 真己
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2009 年 91 巻 3 号 p. 168-172

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抄録
閉鎖されたガラス室内に種子親として雄性不稔遺伝子をホモ型 (aa) で保有した個体, 花粉親としてヘテロ型 (Aa) で保有した個体をそれぞれ列状に配置したミニチュア採種園を造成した。花粉親となる個体 (Aa) の雄花は野外の花粉飛散が始まる19日前の2月16日から, 種子親 (aa) の雌花は2月12日から開花が始まり, 2月下旬には両者ともに開花のピークに達した。これに対して, 野外では3月7日まで連続的な飛散は認められず, 飛散数のピークは3月21日だったことから, ガラス室内と野外では開花期に3週間程度のずれがあった。この採種園から得られた種子の発芽率は22.8%であり, 平均的なスギの発芽率 (15∼35%) と変わらなかった。その後の苗の生育も順調であり, 従来の採種園産の実生苗と生育に差がなかったことや雄性不稔苗の出現率も47.3%とほぼ期待どおりであったことなどから, 本採種園は効率的に雄性不稔の実生苗を生産するうえで有効な手法であると考えられた。
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© 2009 一般社団法人 日本森林学会
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