日本森林学会誌
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論文
ならたけもどき病被害地におけるナラタケ属菌の杭捕捉法による検出
小野 里光河辺 祐嗣太田 祐子菊地 泰生金澤 好一
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2009 年 91 巻 3 号 p. 201-207

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抄録
ならたけもどき病は, 樹木園, 緑地等の樹木に樹勢衰退を引き起こす重要病害である。ならたけもどき病が発生しているフユザクラ林において, ナラタケモドキの土壌中の分布把握を意図し, 杭捕捉法によるナラタケモドキの検出を試みた。枯死木を含む試験区と枯死木を含まない任意に設置した試験区の計11試験区を設定し, コナラ枝で作製した杭を計615本設置した結果, 9試験区の計86本の杭にナラタケ属菌の根状菌糸束や菌糸膜が認められた。そのうち58本の杭から分離されたナラタケ属菌の種は, 交配試験およびPCR-RFLP解析によりすべてワタゲナラタケと同定された。ナラタケモドキは杭捕捉法により検出されなかった。ワタゲナラタケは根状菌糸束を豊富に形成し, 土壌中の広い範囲に生息していると考えられた。
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© 2009 一般社団法人 日本森林学会
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