抄録
複層林施業の上木間伐作業において低コストで下層木の損傷を抑えた新たな間伐作業方法を開発することを目的として, 高密路網と林業機械を組合せた機械作業システムの導入を試みた。上木100年生で下層木40年生の1.58 haの複層林に342.3 m/haの簡易作業路を開設し, グラップルとスイングヤーダによる木寄せ, ならびにフォワーダ搬出を行った。時間分析の結果, 伐木時のワイヤー引き作業や造材時の枝払い作業に多くの時間を要していることが明らかになった。労働生産性は5.97 m3/人日になり, 単層林ヒノキの全国平均の倍以上の生産性であると評価された。伐出コストはレンタル機械の使用により7,516円/m3に抑えられた。下層木の被害は16%であり, 細い木ほど被害の程度は大きくなった。