平成23年 (2011年) 東北地方太平洋沖地震津波の発生1カ月後に岩手県沿岸の海岸林と集落14箇所を現地踏査したところ, 10箇所で海岸林と集落が全壊あるいは半壊した一方, 4箇所で海岸林は全半壊したものの集落の被害が軽微であった。これら4箇所の共通の特徴は, 集落と海岸林の間に約600 m以上の広い土地が確保されていることであった。その広い土地には, 集落が海抜18 m以上にある場合は田畑などのオープンスペースが, 集落が海抜10 m以下にある場合は林帯幅約1 km の海岸林と, 防潮堤を含む複数の防災施設が存在していた。こうした土地利用のデザインや海岸林の構造が, 沿岸集落における津波被害の回避や軽減に有効である可能性が示唆された。