日本森林学会誌
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総説
モウソウチク林の拡大が林地の公益的機能に与える影響
―総合的理解に向けて―
篠原 慶規久米 朋宣市橋 隆自小松 光大槻 恭一
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2014 年 96 巻 6 号 p. 351-361

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抄録
本研究では,既往の研究を整理することで,モウソウチク林拡大の実態,現存量を把握すると共に,モウソウチク林の拡大が,林地の水土保全に関する公益的機能を低下させる可能性について検証した。モウソウチク林の面積拡大は数多くの研究により報告されており,年間拡大率の平均は 1.03 ha/(ha year)であった。また,隣接する場所が開けている方が,開けていない場所と比較し,モウソウチク林の拡大速度が大きいことが示唆された。モウソウチク林の地上部現存量は,62.6~224.3 t/ha であり,その最大値はスギ林・ヒノキ林の最大値よりも小さいと予想された。一方,地下部現存量は研究例が少なく,今後のさらなる研究が必要である。林地の水土保全に関する公益的機能について既往の研究成果を取りまとめたところ,これまでの推察に反して,モウソウチク林は,他の森林タイプと比較し,洪水,渇水,表層崩壊,表面侵食のリスクが低いことが示唆された。しかし,この結論は十分な計測例に基づくものではない。今後,様々な林分条件,気象条件のモウソウチク林で数多くの計測が行われ,上記の結論を再検討することが望まれる。
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© 2014 一般社団法人 日本森林学会
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