東京電力福島第一原子力発電所事故翌年の2012年と2013年に,福島県南相馬市の森林において,林木に含まれる放射性セシウムの分布を調べた。放射性セシウムの大部分は枝葉と樹皮に検出されたが,個体や個体内の部位によって大きな濃度差があった。スギでは幹木部でも放射性セシウム濃度が 1 Bq/g を超える試料もあった。とくに高い位置の幹木部では辺材より心材に高濃度で分布していた。事故時に根系から切り離されていた幹の木部にも含まれていたことなどから,幹木部の放射性セシウムは経根吸収したものではなく枝葉などで吸収され移行したものと推察した。