日本森林学会誌
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論文
ガラス温室内長日処理によるエゾマツ実生コンテナ苗の育苗期間短縮
田村 明織田 春紀山田 浩雄福田 陽子矢野 慶介生方 正俊後藤 晋
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2015 年 97 巻 3 号 p. 135-142

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抄録

エゾマツのコンテナ苗は播種から山出しまで 4 年かかるため, 育苗期間の更なる短縮が望まれている。本研究では4 種類の環境条件, 3 種類のコンテナ, 7 種類の用土の組み合わせ, 計 84 処理区の中からコンテナ苗の育苗期間を短縮できる最適な条件を探った。その結果, ガラス温室内で高圧ナトリウムランプによる18 時間の長日処理を行い, 容量300 cc のマルチキャビティコンテナ (JFA300) にココピート 100% を用土に用いて育成することによって, 2 年でアカエゾマツにおいて暫定的に決められたコンテナ苗の 2 号苗の規格 (苗高 20 cm 以上, 地際直径 4 mm 以上) を 77% の個体が上回った。また, ガラス温室内での高圧ナトリウムランプによる長日処理は, 産地に関わらずコンテナ苗の成長を促進する効果があることが示された。これらの結果から, エゾマツのコンテナ苗の育苗期間をさらに短縮できる可能性が出てきた。

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© 2015 一般社団法人 日本森林学会
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