日本林学会誌
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利用材積に関する研究 (5)
根曲り材積について
羽田 清五郎
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1960 年 42 巻 4 号 p. 127-135

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抄録

多雪地帯の傾斜地に生立する針葉樹では,積雪の機械的作用による根曲りが非常に多い。この根曲りは利用材積上,大きな損失をまねくにもかかわらず従来あまり調査されなかつた。これは問題の取り扱いが非常にむずかしいためと思われる。
そこで,私はこの論文において,根曲り材積の測定法ならびにその正確度について研究した。真の根曲り材積はキシロメーターで測定した。以下結果をまとめで報告する。
1)根曲り部分の断面形は,土地の傾斜方向に長径をもつ楕円形であることがわかつた。その長径,短径の高さ階に対する関係は抛物線式y=a+bx+cx2で表わされた。
2)根曲り部分の内曲線(土地の傾斜方向の縦断面に関して峯側の曲線),外曲線(土地の傾斜方向の縦断面に関して谷側の曲線)はy=(a+bx)xで表わされた。
3)第1の根曲り材積推定式として,
V=l/90{32(G1/4+G3/4)+12G1/2+7(Gn+Go)}............HADA (I)を得た。
Go....丸太の元口断面積
G 1/4....元口より1/4の距離における断面積
G 1/2....丸太の中央断面積
G 3/4....丸太の元口より3/4の距離における断面積
Gn....丸太の末口面積
l....丸太の直線長
4)第2の根曲り材積推定式として,
V=G. R. α................................HADA (II)を得た。
G....幹軸に直角な中央断面における楕円の面積
R....楕円の重心の通る円弧の半径
α....中心角(Radian)
5) HADA (I)式は区分求積式と同様の正確度を持つが,やや負の誤差が多い。今各式の正確度の順序を示せば,
1. HADA (I)
2. SMALIAN区分求積
3. BREYMANN
4. RIECKE
5. SIMONY
6. SCHIFFEL
7. HOSSFELD
8. HADA (II)
9. HUBER
10.末口2乗法
11. SMALIANである。HUBER,末口2乗法, SMALITAN式は特に誤差が多く,根曲り材の求積には使用できないことがわかつた。
6)根曲り材積の全材積に対する割合は12.6~28.3%で,平均して約19%であつた。

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