日本森林学会誌
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水辺管理区域の現況とその保全が林業に及ぼす影響
岩手山周辺地域を事例として
久保山 裕史西園 朋広大石 康彦粟屋 善雄古井 戸宏通天野 智将田中 邦宏横田 康裕
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2005 年 87 巻 5 号 p. 410-418

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抄録

数値地図,現存植生図,森林資源GISデータ等を用いて岩手山周辺地域の植生状況と水辺管理区域(RMZ)の施業規制が木材生産に及ぼす影響を分析した。RMZは,永久河川•湖沼からのバッファリングによって設定した。RMZの占める面積割合は,その幅15mでは4%,50mでは11%に達した。森林区域以外のRMZでは,森林はわずかであることから,水辺林回復が必要である。一方,森林区域のRMZでは,人工林率は少ないが,民有林では高齢林が少なく,保全の必要がある。また,RMZを含む林分は,出材しやすい場所が多く,民有林の林分は高い割合でRMZに包含された。現状の規制は緩く,RMZを禁伐とした場合の補償額は,幅を広くとるほど高額となる。他方,小面積林分を規制対象から除外すると,保全されるべきRMZが断片化した。以上から,個人有林等に対してはRMZの幅を小さくし,施業要件を緩和する等の措置が適当と考えられる。

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