抄録
総合病院における精神科医の業務は往診など他科領域を含めて広い。そして設立主体や病床の有無などにより,教育指導や研究の必要性,精神科救急での役割,経営への関与など求められるものに差があり,同じ総合病院精神科医でも立場や役割は多様である。職業性ストレスは「仕事の要求・コントロール度・社会的支援の不均衡」や「努力と報酬の不均衡」などで表されることが多いが,有床公立総合病院の精神科医などでそれらは高くなると考えられる。総合病院精神科医への支援はその多様性に配慮したうえで,個別に自助・互助・公助などから多面的に検討する必要がある。例として,総合病院では症候性精神障害など複雑な症例を数多く経験できる「やりがい」を感じている医師も多く,その長所を強化することなどが自助になる。また大学などからの人的応援体制整備を行うこと(互助)や,医療秘書の導入や経済的支援の増加(公助)が必要となる。