総合病院精神医学
Online ISSN : 2186-4810
Print ISSN : 0915-5872
ISSN-L : 0915-5872
原著
臨床心理士のコンサルテーション・リエゾン活動に対する医療従事者の意識の質的検討
―がん医療に焦点を当てて―
津村 麻紀古川 はるこ森田 満子真鍋 貴子伊藤 達彦忽滑谷 和孝
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 23 巻 2 号 p. 172-179

詳細
抄録

臨床心理士のコンサルテーション・リエゾン(C-L)活動に関する意識について医師と看護師249名のアンケート調査の自由記述回答(3種類)を対象に質的分析を行った。その結果,1.カウンセリングイメージは8カテゴリーに分類された。2.C-L活動に対してわかりやすさや身近さを望み,患者や家族への心理的援助だけでなく医療者に対する予防的かつ教育的なアプローチも望んでいた。3.依頼希望としてはがん患者が最も多く,①「情緒的問題」,②「患者−医療者関係」,③「がんの治療経過に伴う苦痛」への介入を望んでいた。慢性疾患患者とがん患者を比較すると,いずれも心理的問題だけではなく身体治療上の問題もあげられていた。がん患者の特徴としては,告知にまつわる情緒的問題や,複雑な患者−医療者間の相互関係があった。よってがん医療では,関係性の文脈を踏まえた後方支援的な心理的援助も行っていく必要があると考えられた。

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top